恐竜の動き、質感などが、CG技術の長足の進化により、もう現存する動物のようにスクリーン狭しと動き回り暴れるリアルな描写をヒヤヒヤしながら楽しむ、夏場の観賞に絶好の作品となっている。
新しく登場する海凄恐竜モササウルスの鮫を一飲みするデカさ、おなじみの小形恐竜ヴェロキラプトル(通称:ラプター)の信じられないスピード感、遺伝子操作で生み出されたという設定のT・レックスをはるかに超える大きさに加えて擬態までできるというI・レックスなど、恐竜ファンにとってたまらないキャラクターの登場を堪能できる大サービスをしてくれるので、ストーリーなどそっちのけで楽しめるだろう。
至近距離で、恐竜たちの生態を観察できる高級リゾート「ジュラシック・ワールド」に勤務する野心家クレアの元に、甥のザックとグレイが訪れる。幹部社員のクレアは忙しい身で面倒を見れないので、ふたりにフリーパスを渡して園内を回れるように計らう。このビジネスを成功させるためには、次から次へとサービス内容を変え、新しい種を創り出さねばならない。クレアと遺伝子学者ウー博士は倫理上の一線を越え、最大凶暴恐竜T・レックスに各種の恐竜や昆虫の遺伝子を混合させたI・レックスという未知数の新種を創り出し秘密裏に公開させる機会を窺っていた。恐竜行動学専門で元軍人のオーウェンは、クレアの恋人だがこのことには反対だった。オーウェンは、今小形恐竜ラプターを調教し人間の言うことをよく聞くよう飼育しており後一歩で成功しそうだった。そんな時、厳重に囲っていた施設からI・レックスが脱走し、園内の密林の奥深くに姿を消す非常事態が発生した。この園内には2万人の客がいるのだ。園内の安全エリアに客を避難させるよう指示するクレア。しかし、恐竜オタクの弟グレイと無鉄砲な兄ザックは勝手に危険な地帯にいて連絡がつかない。大パニックに陥った客たちを安全な場所に導きながらクレアとオーウェンは必須でふたちの行方を探す。しかし、I・レックスは警備隊員を襲いながらザックとグレイへと迫っていきはじめた…。
ストーリーはかなりご都合主義だが、オーウェンがラプターを飼育するシーン、それが伏線となるシーンに海棲恐竜を絡ませるクライマックスなど、けっこう楽しませてくれる内容となっている。特に恐竜ファンにはお勧めの作品である。
ぼくのチケット代は、2,000円出してもいい作品でした。
星印は、CG技術の凄さに加点して3つ差し上げたい作品です。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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