今やアメリカ映画界の一大勢力となったマーベル社が、コミック雑誌社として倒産寸前の危機に瀕した1961年に出版した「ファンタスティック・フォー」の大ヒットによって立ち直ったのは有名な話だが、その中興の祖としての大事な作品の映画化作品である。
発明好きのオタク科学少年リードは、そのあまりに突飛な発想から教師や仲間からも相手にされなかったが、クラス・メイトで家が廃品回収業を営むガキ大将のベンだけが、リードの才能を信じて一緒になって発明に興じていた。
そして高校生となったリードとベンが幼い頃から改良を続けた物質転送装置を、地元の科学コンテストで発表するが、やはりその突飛な発明の凄さは理解の外を超して不評となった。しかし、バクスター財団のストーム博士がリードの才能に着目して学生研究員としてスカウトする。この財団は天才的アイデアを持つ若者たちを育成するシンクタンク機関であり、ストーム博士がリーダーであった。リードの物質転送のアイデアの本格的実施のためには、若い優れた仲間が必要であると考えていたストーム博士によって、博士の息子ジョニーと養女スー、そしてリード同様物質転送装置の研究をしていた偏屈なビクター博士をチームとして編成し本格的研究がはじまった。しかし、才能はあるがとかくクセの多い仲間たちでありイザコザを続けながら遂に転送装置が完成した。
だが、転送装置の搭乗員が政府機関のプロに決定したという知らせに実際的な名誉をとられると焦ったビクターとリードとジョニーは、リードの頼みでベンを仲間に加えて、勝手に装置に乗り込み、原始の地球に似た別次元の惑星プラネット・ゼロへと発進した。
無事に惑星へと瞬間移動したものの、この強烈なエネルギーに満ちた世界を探査中そのエネルギー爆発に遭遇しビクターは行方不明となり、命からがら残った三人は装置を発進してラボに戻るが、ラボへ誘導したスーを含めた4人は惑星の道のエネルギーによって大けがを負う。辛くも一命を取り留めたもののスーは透明化する体、リードは伸縮する体、ジョニーは炎を出す体、そしてベンは体が硬い岩石で覆われた肉体、という特殊能力を持つ人間と化してしまう。<ファンタスティック・フォー>の誕生である!
普通の若者でありながら特殊能力を持ったばかりに、大人たちの打算に利用されようとする運命に抗うコミック・ヒーローの原型のこのドラマは、時代の先端をいくCG技術の出来栄えと相まってけっこう楽しく見られるマーベル的内容となっているし、その誕生秘話を中心とした過程の少年時代がよくできていたと思う。
ぼくのチケット代は、2,000円出してもいい作品でした。
星印は、3つ差し上げます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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