日本の「忠臣蔵」をベースにした作品である。
紀里谷和明が、日本人として初めてハリウッド映画の監督をしたことで話題となった作品であるが、気合の入った演出で合格点を与えていい作品となっている。
中世。とある皇帝国家の属領の領主バルトーク卿は剛毅な性格で不正を憎む高潔な心の持ち主であった。皇帝の大臣に任ぜられたギザ・モットは強欲な性格で、バルトーク卿に皇帝の恩寵を盾にして領地を保証する代わりに賄賂を要求する。バルトーク卿は忠義の騎士隊長ライデンを伴って皇帝の都に赴き、ギザ・モットに対決するが誤ってギザ・モットを傷つけてしまう。皇帝は自分の高官を傷つけたバルトーク卿に死を命じる。バルトーク卿は毅然としてそれを受け入れた。しかしギザ・モットの悪辣な進言で、誰よりも主君に忠誠を誓う騎士隊長のライデンが、バルトーク卿を殺すように命令される。
バルトーク卿の領地は没収され、卿の家族は追放。領主を失った騎士団は散り散りバラバラとなった。一年後、権勢を欲しいままにするギザ・モットの懸念は、ライデンをはじめとする騎士団の復讐であった。ギザ・マットは腹心の部下イトーに命じて、ライデンたちの動向を監視させる。イトーは内通者を作り己も厳しくライデンたちの様子を見張るが、ライデンは日夜酒浸りとなり廃人同様になっているのを確認する。
そして、寒い雪の舞う夜明け、鉄壁の要塞と化したギザ・モットの館に騎士団は襲いかかってきた…。
「忠臣蔵」の物語が、ヨーロッパ中世の騎士物にピッタリとフィットしており、紀里谷監督の演出で重厚なドラマに仕上げた。<サムライ魂>の物語は「忠臣蔵」だけでなく文楽に沢山あるので、この作品が認められたら企画に困っているハリウッドは宝の山を掘り当てたと思うのではないか!そして英語を使える日本人監督が紀里谷監督につづいてハリウッド進出が可能ではないか、と思わせる<サムライ魂>が詰まった映画となっていたのだ!そう思わせる程の切りや監督の会心作となっているのだ!ぼくのチケット代は、日本人の誇りを思わせてくれた内容に2,200円を出します。
星印は3つ差し上げます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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