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2015/11/24
独裁国家の中で支配された12の地区から24名の若者たちを選出して戦わせるサバイバル戦「ハンガー・ゲーム」に、妹の身代わりに参加した少女カットニスが壮絶な戦いの末、その国家に仲間たちと立ち向かっていく行動を描いたこの作品は、2012年に封切られるや、全米の若者たちから圧倒的な支持を受け大ヒットした3部作のファイナル作品である。
妹の身代わりに死のゲームである「ハンガー・ゲーム」に参加したカットニスは、見事に勝者となるが、その勇敢な戦いぶりは圧制にあえぐ全土の民衆の心を掴むヒロインとなる。その存在に危険を感じた独裁者スノーは、歴代の勝者24名を集めた特別ルールの「ハンガー・ゲーム」を強引に開催するも滅亡したはずの13地区のコイン首相たちの反乱のため途中で中止され、カットニスは反乱軍のシンボルとなることを受け入れ政府軍と対決する。
そしてカットニス率いる13地区軍は、スノー大統領の政府軍との最終戦争に突入した。戦いは13地区軍が全土の民衆の支持を集め優勢に戦況は展開する。
しかし、カットニスの心は重い。実はカットニスの恋人であるピーターが政府軍に拘束され毒物による洗脳で、ふたりの出身地である12地区が壊滅した原因はカットニスのせいであると信じ込まされ狂乱状態になっていたからである。
さらに、首都キャピトルへの侵攻に対して、13地区軍の司令官であるコイン首相が、シンボルであるカットニスの役割は終わったとして戦線への参加を禁じたこともあった。その冷たい態度に激しく反発したカットニスは、スノー大統領は絶対自分が倒すと決心し、無断でキャピトル陥落の戦いに仲間やピーター共々参加するのだが…。
大人たちの戦争の道具とされながら、くじけず過酷な戦いに挑む少女の凛々しい姿が、今や富の差別社会に貸したアメリカの資本主義社会にうんざりしてしまっている、若者たちと気持ちがリンクしたような内容に、アメリカの若者たちの共感を呼んだと思われる作品だが、出来具合はしっかりしている。そして故郷で争いのない平和な生活を願う少女カットニスのラストの姿は万国共通の思いでもあるのだ!
ぼくのチケット代は、2,200円出しもいい作品でした。
星印は、3つ差し上げます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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