韓国で封切り1か月間に1,200万人を動員した大ヒット刑事アクション作品。
韓国内でいわばアンタッチャブルな存在の巨大財閥の横暴と無法ぶりに、ノンキャリアの刑事たちが真っ向から立ち向かう、という痛快無比のストーリーが巨大財閥の富の独占にイライラしている大衆の心の溜飲をさげさせたのであろうが、ユーモアとアクションを併用した破天荒な内容は日本人にも受けそうな作品となっている。
広域捜査隊のソ・ドチョル刑事は、ワルたちを腕力でのしたいと警察に入っただけあって、からりの荒っぽい男だが、不正を憎み男気あふれる熱血漢。
いつものように上司たちを悩ませる荒っぽい捜査でロシア・マフィアの犯罪を壊滅させる。その時カモフラージュのため手伝ってもらった、貧乏だが誠実な性格の大型トラック・ドライバーが、巨大財閥のシンジン物産を訪ねた直後、意識不明の重傷を負う出来事が起こった。ドライバーの男の性質をよく知っているドチョルは、この出来事に不審を抱いて会社を訪れるがケンもホロロに追い払われる。さらにシンジン物産は警察や検察の上部に手をまわしてドチョルの調べを妨害しはじめた。
このシンジン物産を牛耳っているのは、巨大財閥シンジン・グループの御曹司チャ・テオ。前にテオに一回会う機会があり、財力に物を言わせたわがままで凶暴な性格に危険を感じていたドチョルは、本格的に捜査しはじめる。が、上層部はこの捜査をやめさせようと図る。ドチョルと捜査隊員たちは憤慨し、独自でテオの周辺を洗いはじめる。
だが社会の最上層部に網の目のように関係を張り巡らせている巨大財閥グループの力は手強い。だが、これだけの巨大財閥が一介の下請けの最下層のトラック・ドライバーの不幸な出来事の捜査を徹底的に妨害することは、御曹司のチャ・テオの性格が深く関連していると見た、ドチョルと捜査隊員たちは背後関係を執拗に調べ、次第にテオたちを守ろうとする巨大財閥を追い詰めていくが・・・・。
韓国スパイアクション「ベルリンファイル」で人気を博したリュ・スンワン監督が、今度は、韓国の巨大財閥の無法ぶりを暴いた。その映画手法としてシリアスな描写を避け、徹底して戯画化した社会としているので、内容は作為的に荒唐無稽な描写を多用している。が、根底の富の独占への怒りは十分に察せられる痛快な娯楽映画となっていた。
今、世界中が格差社会化した社会となっているので、日本でもこの内容は他人事ではなく見られるであろう!この作品でスカッとした気分で正月が迎えられそうな、ハジけた作品となっているのだ!
ぼくのチケット代は、2,200円を出してもいい作品でした。
星印は、3つ半差し上げます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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