「謝罪の王様」などのコメディ映画を中心に撮っている水田伸生監督のミュージカル風のコメディ作品だ。
73才の瀬山カツは、戦中生まれで戦災孤児として育ったが、持ち前の活発な性格で戦後を生き抜き結婚したが、その夫を早く亡くしひとり娘を女手ひとつで育てあげた。
そのカツの自慢は、娘の幸恵が有名な女性雑誌の編集長をしていることである。
が幸恵も離婚し今は、息子の翼と三人暮らしをしている。
ある日、バンド活動して就活もしない可愛い孫の翼のことで幸恵とケンカしてしまったカツは家を飛び出し、とある怪しげな写真館できれいになる写真を撮ってもらった。
そして何と出てきたカツは、20才の女の子に変身していたのだ。
苦労一筋で望むような人生を生きられなかったカツに訪れた奇跡!
二度目の青春を与えられたカツは、「こうなったらとことん好きなように生きてやる」と憧れだったオードリー・ヘプバーンの髪型や服装にチェンジし、名前も大鳥節子と変え、新たな人生を楽しもうと考える。
そんな折、翼のバンドのボーカル担当の女性が就活で降りたところに出くわし、20才のキュートな容貌に往年のポピュラーしか歌えないカツ=節子が強引にリード・ボーカルになってしまう。そしてそのアンバランスなバンド活動が、新人アーティストを探していたやり手の音楽プロデューサー小林拓人の目に留まる。
節子の歯に衣を着せぬ言動に魅かれた拓人は、このバンドを売り出そうと考える。
しかし、新人コンクールには新曲が必要ということで、翼にその曲作りを節子は命じる。一方、住む場所を探すカツ=節子は、戦災孤児仲間の風呂屋を経営する中田次郎にだけは、自分の正体を明かす。孤児時代に何回もセツに助けられた次郎は快く彼女の後ろ盾となり奔走し始める。
拓人と節子の間にほのかな恋が生まれ始めた頃、曲作りを頑張り新人コンクールに間に合うはずの翼の身に異変が起こった。それを助けるためには節子は自分の正体を打ち明けるしかないのだが…。
多部美華子が、懸命にコメディ演技を頑張っているのは認めるが、いかんせんストーリー構成が甘いので、演技が空回りしてしまいあまり笑えないコメディとなってしまった。
この内容だと125分という長さが無駄に長い作品となっているのだ!
ぼくのチケット代は、1,500円ぐらいかなと思う作品でした。
星印は、2つ差し上げます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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