時代劇の所作・態度などはきちんと踏みながら、歴史の虚実を巧みに織り込み展開する超娯楽色の強い時代劇によって大ヒットした作品の続編である。
湯長谷藩の藩主・内藤政醇(歴史上実在した)と遊郭の飯盛女・お咲の恋の成就後、宿敵の老中・松平信祝が謹慎の処分から復活し、再び磐城1万5千石の湯長谷藩を抹殺しようと企む陰謀を防ぐため、湯長谷藩の一騎当千の精鋭たちが藩主と共に活躍する!という前作よりも見せ場の多い群集劇的内容となっているが、前作に負けず劣らずの痛快な娯楽作品となっているのがうれしい!
湯長谷藩から産出する金を狙って、藩を抹殺しようと不可能な参勤交代を命じた老中・松平信祝(まつだいら のぶとき)の陰謀を知恵者の家老・相馬兼継のアイデアによって乗り切った民を愛する心やさしき藩主・内藤政醇(ないとう まさあつ)は、参勤交代の帰り路、牛久(うしく)宿で愛する飯盛女のお咲との祝言を苦労を共にした家臣たちと楽しんでいた頃、湯長谷藩で不可解な一揆が勃発した。8代将軍・吉宗の日光東照宮への参拝による恩赦で老中で復活した松平信祝が、御三家の尾張藩主・宗春と組んで再び自分をコケにした政醇を倒すため策動し始めていたのだ。藩に早くもどるため行きの倍の速さで参勤交代をするため、またもや兼継のアイデアに頼りながら湯長谷にボロボロになりながらたどり着いたものの、城は尾張柳生に乗っ取られていた。その頃、江戸では信祝の陰謀を南町奉行の大岡忠相が密かに調べていた。江戸に残っていた秋山はひょんな事から知り合いの大岡と共に行動している。一方、この一揆が信祝の謀り事と知った政醇は、江戸から尾張柳生の藩士たちを含む千人の大軍勢に要して来た信祝と、故郷にたどり着いた7人の手練れの家臣たちと真っ向から対決しようとしていた。さあ、政醇はこの絶体絶命の危機を乗りこえる事が出来るのか…!
本木監督のスピーディな演出と、土橋のアイデアに満ちた脚本は、今回も冴え渡り前作と同じレベルの超娯楽作品に仕上げた手腕は見事である。若い層にも時代劇がいかに楽しいかを認知させた功績は大きい。同時に佐々木・西村・寺脇・六角をはじめとした俳優たちの複式演技ともいうべき滑舌のよい台詞ぶりにホレボレとしてしまうし、陣内のこれぞ勧善懲悪物の敵役と拍手したくなる演技にも拍手!
そしてこれだけ出来がいいと、現代にも通じる政治の何か?をも隠し味として感じさせる深読みをしたくなる風流な作品ともなっているのだ!
ぼくのチケット代は、2,300円出してもいい作品でした。
星印は、4つさしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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