マット・デイモンを一躍世界の大スターに押し上げた「ボーン」シリーズ3部作(2002/2004/2007)が9年ぶりに復活した!(間に「ボーン・レガシー」(2012)という番外編があったが雑な作りでひどかったし、M・デイモンが出ないので入れたくない)
一応、3部でボーンが記憶喪失から覚めるという内容で穏やかな完結をしていたので、2・3部作を監督し、シリーズをさらに白熱した内容でパワー・アップさせたポール・グリーングラス(この監督の「ユナイテッド93」(2006)を見てない人がいたらDVDで必見の作品です)が再び監督を担当するので、今度はどんな内容にしたのか期待したが、なるほど、こう来たか!と納得する新バージョンの作品となっていた。
自分の本名がデビッド・ウェッブであり、父がCIAの機密計画に参画していた事を知ったボーンは、危険人物としてCIAからリスト・アップされたまま行方を絶っていた。しかし元CIAの女性工作員・ニッキーがCIA本部からハッカーした機密計画の資料を入手し、再び動き出した。CIA長官ロバート・デューイは、ボーンを始末する計画を、サイバー部門の若き女性エージェントのヘザー・リーと、ボーンに恨みを持つ敏腕工作員に命令する。ボーンは巧みにCIAの包囲網をくぐり抜けアテネ・ベルリン・ロンドンと移動をつづけながら、自分をこのような状況に追い込んだCIA内部の重要人物は誰か?を探索していく。その中でヘザー・リーは、ボーンを徹底的にプロファイルし、ボーンを抹殺するよりも懐柔しCIAに取り込む方法が最善の策と考え意見具申するも長官の態度は煮え切らない。一方、敏腕工作員は着々とボーンの行き先を突き止め抹殺できるタイミングを虎視眈々と狙う。
ボーンは果たして、レバノンでテロに巻き込まれ死亡した父・リチャード・ウェッブの謎を解明できるのか?そしてヘザー・リーの説得を受けるのか?事態は刻一刻と変化する中を阿修羅のようにボーンは行動し動いていくのだが…。
P・グリーングラス監督は、前作にいや増す激しいテンポの演出で、徒手空拳のボーンの孤独な戦いを捕えていく。あれから9年経ったM・デイモンはさすがにアクションは少し衰えたが、その存在感と風格はより凄みを増して、観客であるぼくらをスクリーンに釘付けにしてくれた。この作品を新バージョンの序曲と考えると、監督の狙いは見事にツボに嵌った内容となっており、次回作をワクワクとした期待感で待たれる作品となっていたのだ!監督の演出手腕はやっぱり映画にとって大切な存在ですね!
ぼくのチケット代は、2,300円出してもいい作品でした。
星印は、4ツ差し上げます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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