映画の宣伝チラシには「ティム・バートン史上、最も奇妙。」と謳われていたが、物語は「最もまとも!」と言い換えていい!ファンタジーに富んだ作品となっていた。
フロリダに住むジェイクは、周囲の仲間たちとなかなか溶け込めない少年だった。
それは祖父エイブが、幼い頃からジェイクに聞かせてくれたイギリスのウェールズにある小島で、ハヤブサが奇妙な能力を持つ少年・少女を守る保護施設での冒険話しを本当の事と信じて育ったせいもあったのだ。
そのエイブが何者かに襲われた。息絶える前にエイブは「早くここを離れろ。島へ行くんだ」とジェイクに言い残す。
そしてジェイクは父に連れられて、ウェールズのケルン島に赴いた。
ジェイクは早速ケルン島で探検を開始し、偶然に別世界に迷い込む。そこは美しい庭園に囲まれた屋敷であり、何とエイブが話してくれた12人の<奇妙なこどもたち>が、ミス・ペレグリンと呼ばれるハヤブサの化身に守られていた場所だったのだ。そして時は1943年、ドイツ軍がイギリスを攻撃していた過去の時代となっており、ミス・ペレグリンはこどもたちをドイツ軍の爆撃から守るため、安全な9月3日を毎日くり返す結界を張り永遠の平和を保っていたのだ。エイブはその時代に冒険の旅の果て、この島にたどり着いて、ミス・ペレグリンと<奇妙なこどもたち>と暮らしていた事が躰が軽く鉛の靴を履かないとフワフワ空中に浮いてしまう少女エマから聞かされる。父に内緒でその秘密の場所に通うジェイク。しかし、不死のパワーを得るためこどもたちの命を狙うバロン一味とモンスターがこの屋敷を襲ってくる。ジェイクは仲良くなった<奇妙なこどもたち>とミス・ペレグリンと共にバロンと戦う決心をするが…。
12人のこどもたち全員の奇妙な能力を発揮させる<見せ場>シーンは拍手を送りたくなるほど楽しく、ハッピーなラストなど、子供たちに見せたい映画となっていた。もちろん大人も十分に満足させる出来具合であり、物語の流れをきちんと整理しながらのティム・バートンの演出ぶりは、最近では<最もまとも>な内容となっていたのだ。
そして最近の世界情勢への警鐘でもある寓意的な内容と解釈できる作品でもあるのだ!
ぼくのチケット代は、2,300円出してもいい作品でした。
星印は、4ツ差し上げます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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