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ラストレシピ 麒麟の舌の記憶

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   2017/11/07

衛藤賢史のシネマ教室

少し話しが出来すぎの感があるが、滝田洋二郎監督の手練れの演出術によって大作として風格のある内容に仕上げてきた。
 
<麒麟の舌>と称される、一度食べた料理の味は決して忘れず再現できる絶対味覚の持ち主である料理人・佐々木充(二宮和也)は、妥協を知らない料理作りで店を潰し、今は金持ち相手にラストレシピを請け負う仕事をしている。同じ施設で育った親友・野沢健(綾野剛)は、そんな充の虚無的生き方を心配していた。ある日、充の元に中国料理会重鎮である楊清明(笈田ヨシ)から北京で会いたいという連絡が入る。VIP待遇で北京を訪れた充に、楊は充の稀有の才能である絶対味覚によって1930年代の旧満州国で日本人料理人・山形直太郎(西島秀俊)が考案した[大日本帝国食菜全席]というレシピの料理を再現してもらいたいと話しはじめる。だがそのレシピは現在行方不明であり、まずそのレシピを探してもらい、それから充によって再現してほしいという奇妙な依頼だった。しぶる充に楊は山形も絶対味覚の持ち主だったと言う!充は同じ才能を持つ山形への対抗意識からその依頼を受け、かって山形が満州で助手として仕えたという鎌田(伊川東吾)という老人を探しだし話しを聞く。山形は満州国の日本人将軍・三宅(竹野内豊)の招聘を受け、身重の妻・千鶴(宮崎あおい)と鎌田(西畑大吾)を連れ満州に赴いた。現地で楊(兼松若人)が助手として3人だけで、天皇が満州に行幸された時の料理[大日本帝国食菜全席]のレシピ作りに入る。しかしそこにはある陰謀があり、苦労の末に完成したレシピは行方不明となったらしいのだ。充の執拗な調査によって、その全貌が明らかになるのだが、そこには料理に命と情熱を懸けた山形の壮絶な生涯が浮き彫りになり、歴史に名の残すことのなかった庶民の壮烈な誇りと愛の姿に、充は言葉を失うほどの衝撃を受けることになる!
 
<絶対味覚>を持つ現在と過去の料理人を対比させながら、人と人の絆を錯綜させつつ現在と過去が結ばれるこの物語は、満州国の再現撮影も違和感なくスタッフの意気込みがしっかりと伝わる。また現在と過去の切り返しも無理がなく、時空を超えた人間の縁(えにし)を描こうとする姿勢が素直に観客であるぼくらに伝わる作品であった。
ぼくのチケット代は、2200円出してもいい作品でした。
星印は、4ッさしあげます。

5点満点中4点 2200円

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