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女神の見えざる手

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   2017/11/14

衛藤賢史のシネマ教室

アメリカの政治・政策などを影で動かす、強大なパワー集団;ロビィスト;(もともと政治家が院外者と控え室[ロビー]で面会するロビー活動から生まれた言葉)たちの暗躍を描くこの作品は、アメリカ政界の暗部を容赦なく晒し出す強烈な刺激と面白さに満ちた一級のポリティカル・サスペンスな内容となっているのだ!
 
大手のロビー会社に所属するエリザベス・スローン(ジェシカ・チャステイン)は、凄腕のロビィストとして有名な存在。その彼女にCEOのデュポン(マイケル・ウォーターストン)が新たな仕事として、銃規制法案を潰す工作を命じる。しかしエリザベスは、その仕事を断り銃規制法案に賛成する立場の小規模のロビー会社を経営するシュミット(マーク・ストロング)と組む。エリザベスの意思に賛同し行動を共にしたスタッフは4人だけ。彼女が最も信頼したジェーン(アリサン・ピル)は、その戦いは100%負けるとして移籍を拒む。しかし、エリザベスはめげない!戦いに勝つためには、常に敵の戦略の先手をうち、最後の秘策を周到に用意しながら、どんなダーティな手段も使うことを一瞬もためらわずに、圧倒的に不利なロビー活動に挑んでいく。それは味方であるシュミットですら眉をひそめさせる戦術だった。だが、デュポン側もしたたかだった。エリザベスが自分の会社時代に手掛けた仕事に不正があったとして、重鎮の上院議員スパーリング(ジョン・リスゴー)を抱き込み、その真偽を問う上院の聴聞会にエリザベスを出頭させたのだ。窮地に陥るエリザベス!果たしてエリザベスはどう対応するのか・・・?
 
イギリス人の弁護士ジョナサン・ペレラが書いたオリジナル脚本を、ジョン・マッデンが監督した、このすこぶるつきにスリリングな作品は、全編たたみ込むような台詞の応酬と切れのいい演出によって、観客であるぼくらに一瞬たりとも目をはなさせないヒリヒリした内容となっている。主演のジェシカ・チャステインの圧倒的な存在感は、見た後しばらく忘れることが出来ないであろうこと確実な、凄みのある演技であった!そしてぼくらは、ロビィストという存在がアメリカの政界に落とす影響と、資本主義世界の持つお金を持つ者が勝者たりうることの怖さを肌身で感じながらも、窮鼠猫を噛む緻密な主人公の戦略に思わず唸ってしまうだろう!
ぼくのチケット代は、2400円出してもいい作品でした。
星印は4ッ半さしあげます。

5点満点中4.5点 2400円

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