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DESTINY鎌倉ものがたり

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   2017/12/12

衛藤賢史のシネマ教室

ぼくは西岸良平さんの、画風とマッチしたほのぼのとしたノスタルジー感のあふれる漫画のファンのひとりです。でもこの「鎌倉ものがたり」が映画化されるとは予想もしていなかった(「三丁目の夕日」と比較して若干マイナーと思っていたので)。漫画とはちょっとニュアンスが違ったのですが、老若男女の人々が見ても楽しい内容となっており、娯楽映画として合格点を出してもいい作品となっていました。
 
源頼朝が創建した関東の古都・鎌倉は、今も妖怪・幽霊・魔物などが人間と日常的に混在する地であり、鎌倉に古くから住む人々は、それを当たり前と思っている。そんな鎌倉に、亜紀子(高畑充希)はミステリー作家・一色正和(堺雅人)に嫁いできた。正和とは年齢差がずいぶんとある亜紀子だが、憧れだった正和と結婚出来た亜紀子は張り切って家事にいそしむ。そんな亜紀子の前に年齢不詳の家政婦・キンさん(中村玉緒)や、貧乏神(田中泯)など<人にあらざる者>が出没し亜紀子をびっくりさせるが、フレンドリーな亜紀子はすぐに慣れてしまい貧乏神などを平気で家に寄宿させる。正和は小説を書くかたわら、魔物や幽霊が関わる事件を鎌倉署<魔物課>の刑事たちと協力し解決している。若い可愛い主婦として、このけったいな古都・鎌倉にすっかり馴染んだ亜紀子だが、幼い頃に死別した父母のある秘密に悩む正和の別の一面や、正和の良き理解者である編集者・本田(堤真一)の病死など悩ましい出来事なども体験するのだった。そんなある日、亜紀子は不慮の事故で死神(安藤サクラ)に導かれ黄泉の国に連れさられてしまう。まだ寿命はずいぶん残っているのにと不審がる死神の言葉を頼りに、正和はあらゆる知識とツテを総動員して、愛する亜紀子を黄泉の国から連れ戻すために、生きている身で黄泉の国に赴くことを決意するのだが・・・。
 
売りは、クライマックスの黄泉の国の冒険とCGによる黄泉の国の幻想的光景と思うが、前半の鎌倉での<人にあらざる者>たちとのコミカルな日常生活に、西岸さんの漫画らしい雰囲気がよく出ていてぼくは好きだった。主役の堺雅人・高畑充希はキャラとして正解だったと思う。ラストの伏線は観客も「そうか!」と思わず手をたたくだろう、楽しいアイデアだったと思う。年末にこんな映画を見るのも一興ですよ!と勧められる作品であった。
ぼくのチケット代は、2200円出してもいい作品でした。
星印は、3ッさしあげます。

5点満点中3点 2200円

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