イギリス・ユーモア満載だった前作につづいて、ご要望に応えてということでマシュー・ボーンが再度監督をまかせられた作品(この監督の「キック・アス」面白いです!)。今回は<キングスマン>と同じようなアメリカの組織<ステイツマン>が協力して事件に当たるが、英米の文化・風習の違いでなかなか噛み合わない(イギリスってのは若干どころか、かなりアメリカ文化をバカにしているんです!)様子を皮肉たっぷりと見せながら事件を解決していく内容となっています。
イギリス上級階級のマナーを重んじながらスパイ活動をする<キングスマン>組織の入所訓練から脱落した男の恨みから、ロンドンの<キングスマン>の本拠を壊滅させられ残ったのはエグジー(タロン・エガートン)とマーリン(マーク・ストロング)のみ。仕掛けたのは、アメリカの麻薬組織の<ゴールデンサークル>でありボスのポピー(ジュリアン・ムーア)は性悪のサド女。エグジーとマーリンは復讐を誓いアメリカへ渡る。協力をする予定の<ステイツマン>の面々は凄腕ぞろいだが、コテコテのアメリカ文化に染まった連中ばかりで全員が強いお酒の暗号名を持つ。エグジーやマーリンなどと肌合いが違う荒くれだが、その中でメカ担当の紅一点ジンジャー(ハル・ベリー)はふたりに好意的に接してくれたが、後のメンバーはふたりのイギリス流マナーをせせら笑う。そのジンジャーが案内してくれたのが、何と!死んだはずのハリー(コリン・ファース)。最新の蘇生術で生き返ったのだが、記憶喪失となり自分を蝶類学者と思い込んでいた。その間にもポピー率いる<ゴールデンサークル>は、着々と麻薬の世界制覇を狙い暴れまくっている。英米の組織はなかなか心情的に噛み合わないまま<ゴールデンサークル>が暗躍する東南アジア・イギリスそしてイタリアへと場所を移しながら対決していくのだが・・・。
<キングスマン>のアーサー王伝説の暗号名と、ボスのシャンパン(ジェフ・ブリッジス)、テキーラ(チャイニング・ティタム)、ウイスキー(ペドロ・パスカル)等、教養のない粗野な酒の暗号名のアメリカの<ステイツマン>連中のカーボーイ姿など、アメリカ文化をチクチクと皮肉りながら、圧倒的近代技術を持つアメリカ資本主義を対比させ、テンヤワンヤのアクションを満載したこの作品は、イギリス流コメディ色を濃厚に出しているので、大好きという人と受けつけられないという人にはっきり分かれる確信犯的作品となっているのだ。で、ぼくはと言うとこんなチープを気取る内容けっこう好きなんです!
ぼくのチケット代は、好きなタイプなんで(えこ贔屓です)2100円出しました。
星印は、3ッさしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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