本当にひさしぶりに、これぞアメリカ・ミュージカル映画を見たという気持ちにさせられた圧巻の作品であった!巻頭シーンのドラムを思わせる重低音の足音の中、ヒュー・ジャックマンが歌う出だしで、ぼくはたちまちスクリーンの世界に入り込んでしまったのだ!!<ショー・ビジネス>という概念を確立した、19世紀の実在の興行師P・T・バーナムの栄光~挫折~復活の物語をミュージカル化した作品。
貧しい仕立て屋の息子に生まれたバーナム(ヒュー・ジャックマン)は、子供の頃から憧れた令嬢チャリティ(ミシェル・ウィリアムズ)と結婚する。貧しい身分のバーナムを純粋に愛し、親の猛反対を押し切って結婚してくれたチャリティと二人の娘を幸せにするため、猛烈に努力し果敢なチャレンジ精神で様々な職業を経た後、娘の何気ない言葉にヒントを得てショー・ビジネスの世界に挑戦した。それは在り来りのショーではなく、社会から除け者にされながら生きてきた人々を<個性のある人>と認め、そんな人たちだけで組織されたショーだった。バーナムはそんな人たちを差別せず、自分の仲間として新しい出し物のショーを開演する。興行師として卓越した才能を有するバーナムの宣伝によって、この異色のショーは大衆に大受けしていく。時の人となり百万長者になったバーナムは、さらに高みに登るため、上流階級に知名度のある作家フィリップ(ザック・エフロン)やソプラノ歌手ジェニー(レベッカ・ファーガソン)などと組み新しいショーを計画するのだが・・・。
このようなストーリーに、ミュージカルの魅力を満載した楽曲、ダンスを縦横無尽に入れこみながら夫婦愛、家族愛、友情、恋愛、仲間への信頼などを、流れるようなリズムで演出したマイケル・グレイシー監督の力量に拍手を送りたい。そしてヒュー・ジャックマンの歌唱力・ダンスの確かさ、負けじとダンスなどに頑張ったザック・エフロン、ミシェル・ウイリアムズのキラリと光る受けの演技など、ピタリと決まった着地の体操さながらの、ミュージカルの<決め>の技の醍醐味を心ゆくまで堪能できる!楽しさ、カッコよさを満喫させてくれる会心の作品となっていたのだ!
ぼくのチケット代は、2500円出してもいい作品でした。
星印は、5ッさしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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