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ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男

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   2018/05/04

衛藤賢史のシネマ教室

日本人のぼくらは、辻一弘の特殊メイクでのアカデミー賞受賞に関心がいった作品だが、なんと面白さ抜群の知的エンターテインメントなドラマであったのだ!
 
1940年。ナチス・ドイツの電撃作戦によって、ヨーロッパ各国は次々と陥落しフランスでは仏軍30万英軍20万がダンケルクに追い詰められていた。窮したイギリスは、チェンバレン首相を更迭し、対独宥和政策に断固反対するチャーチル(ゲイリー・オールドマン)を起用した。英国王ジョージ6世(ベン・メンデルソーン)は、切れる政治家であるが大酒飲みで毒舌家のチャーチルを苦手としていたがしぶしぶ了承する。66才のチャーチルは家庭でも毒舌家だったが愛妻のクレメンティーン(クリスティン・スコット・トーマス)には頭があがらない。新入りの秘書エリザベス(リリー・ジェームズ)が初日にチャーチルの毒舌で頭にきて辞めようとするのを宥めチャーチルを諫める。以降エリザベスはチャーチルの稚気を愛し忠実な部下となる。首相として国家の存亡を担う立場となったチャーチルであったが、ヒトラーの天才的戦略には心の中ではおののいていた。が、それは顔に出さず、国民を鼓舞する演説を格調高く叫びながら、当面の最大課題のダンケルクの海岸に追い詰められたイギリス軍の救出作戦に没頭する。その危機に際しても信念を曲げないチャーチルの態度に、ジョージ6世はしだいに心を許し、チャーチル追い落としの政敵の画策に対抗するより大衆の気持ちを知ることの方が大事ではないかと助言しはじめる。上流階級として大衆と直接に交わったことのないチャーチルにとって、すべてが新鮮な出来事となるロンドンの街の地下鉄初乗車など、大衆との直接的対話はチャーチルの心を打つことになる。内憂外患の立場のチャーチルは、このジョージ6世の助言による大衆との触れ合いにより、ある決断をする!それは真摯な言葉の力、そして・・・。
 
首相就任からダンケルク撤退作戦までの27日間を描いたこの作品は、綱渡りのようなスリリングな会話劇というスタイルを取りながら、ジョー・ライト監督の手練れの演出手腕によって、ぼくら観客をスクリーンに視線を釘付けさせるエンターテインメントな内容に仕上げた。なぜ監督が容貌のまったく違うゲーリー・オールドマンにチャーチル役を執着したのか?それは映画を見てはじめて納得した。そして、このむずかしい特殊メイクを担当した辻一弘の技術水準の凄さにもだ!
ぼくのチケット代は、2600円出してもいい作品でした。
星印は、5ッさしあげます。

5点満点中5点 2600円

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