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蚤とり侍

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   2018/05/25

衛藤賢史のシネマ教室

実直で武骨な侍が、女性に愛を売るという商売に身を堕とされ、格式にとらわれる武士階級にない、飾り気のない庶民生活で人間らしさを取り戻していくという内容だが、観客を置いてけぼりにして鶴橋監督だけが楽しんでいたような作品になっていた。
 
18C半ば、老中・田沼意次(桂文枝)の時代<1772~1786>の頃。越後長岡藩の小林寛之進(阿部寛)は、藩主・忠精(松重豊)の怒りを買い、蚤とり業と称される内実は女性に愛を売るという職業をする羽目になる。蚤とりという職業がそんなものであるとは露知らぬ寛之進は、旦那の甚兵衛(風間杜夫)と女房のお鈴(大竹しのぶ)から特練を受け、最初の客おみね(寺島しのぶ)に買われる。亡き妻・千鶴にそっくりのおみねだったが、「ヘタクソ~」と罵られ意気消沈してしまう。そんなところへ富商の跡取り娘・おちえ(前田敦子)の夫で元旗本の清兵衛(豊川悦司)と出会う。プレイボーイの清兵衛は、おちえの強烈な悋気で浮気を奇想天外な手で封じられアタマにきた勢いで知り合った寛之進に、女性の愛し方の濃厚な技術を伝授し、寛之進はその方法を使いおみねから愛されることになる。ふたりは共に心が通じ合う仲になり寛之進はこんな生活を楽しむようになる。リラックスした寛之進は、住んでいる貧乏長屋の住人たちとも仲がよくなり、とりわけ若い浪人である友之介(斎藤工)とは元武士同士ということで気が合う。その友之介は極貧の生活をしながら無償で長屋の子供たちに読み書きを教える真摯な性格をしていた。庶民たちの飾り気のない生活ぶりや、お互い助け合う厚い人情に感銘をうけ武士を捨てる気持ちになった頃、田沼が失脚し質素倹約を奨励する松平定信が老中となり、蚤とり稼業がいかがわしい職業として摘発されはじめ、寛之進は捕らわれ晒し者にされた後処刑されることになる一大事がおこる。さあ、寛之進の身はどうなるのか・・・?
 
内容の大半はサゲ話しという下ネタ物なので、じつは映画にするには大変むずかしいジャンルなのだ。それを風流な話しにするには演出の力が重要となる。諧謔・風刺などがパンチの効いた演出で出せるかが鍵となるが、それがあまり出ていない。サゲ話しに絡む江戸庶民の人情の描写が対になって、はじめて楽しい内容となるはずが鶴橋監督はサゲ話しに重きを置いた荒っぽい演出になっていたと思う!濡れ場のオンパレードでは笑おうにも笑えないのだ!
ぼくのチケット代は、1700円ぐらいかなと思う作品でした。
星印は、2ッさしあげます。

5点満点中2点 1700円

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