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レディ・バード

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   2018/07/18

衛藤賢史のシネマ教室

今年度アメリカのゴールデングラブ賞(こっちの方はアメリカのジャーナリストや評論家が選ぶ賞で、映画好きはアカデミー賞より信頼しているのです)の<ミュージカル&コメディ部門>で作品賞と主演女優賞(シアーシャ・ローナン)に選ばれた作品で、監督のグレタ・カーウィグが半自伝的要素を濃厚に入れたオリジナル脚本も書いている。
 
2002年、カリフォルニアはサクラメントという田舎町に住むクリスティン(シアーシャ・ローナン)は、裕福な子女がいくカトリック系の高校に通っている。クリスティンは自分のことを<レディ・バード>と自称する活発で好奇心旺盛な子。母マリオン(ローリー・メトカーフ)は、過激なクリスティンに手を焼きながら愛しており、父ラリーは寡黙だがそんな娘を信用して母とクリスティンの間をフォローしていた。養子の兄はヒスパニック系のためバークレー校を出ているのに就職がうまくいかずバイト生活の身。そんな家庭だが平和な雰囲気にあふれている。だが、クリスティンは東部の大学に進学することを夢見ていた。しかし、そのためには成績をあげなければならないのと、母の同意がなければ夢におわってしまう。高校生活最後の一年。クリスティンは共稼ぎで生活が苦しい家庭で東部の大学へ進学希望を素直に打ち明けられない。しかし自分の将来を考えた時にぜったいにそうあるべきだと考えてしまう自分を持て余していた。いろいろな面で羽ばたきたいクリスティンは高校生活の中、東部への大学進学を画策しながら、そこは17才の思春期ボーイフレンドの獲得、仲のいい親友との微妙なずれ、などなど多感な年頃特有の揺れ動く心をかかえながら<レディ・バード>として巣立ちしようとしていた・・・。
 
2002年、9・11事件の翌年。そんなテロ事件も遠い出来事みたいなカリフォルニア州の田舎町サクラメントでの一年間を扱ったこの作品は、瑞々しい青春の悩み・出来事を軽やかに描きながら、この当時のアメリカのごく普通の高校生たちが、ノーマルな大人へと羽ばたこうとする様を薄い繊細なオブラートにユーモアを包み込みながら描いたような内容となっていたのだ。そして、クリスティンを演じたシアーシャ・ローナンの演技は出色であり、彼女の起用なしではこの作品は成立しないと思うほど、多感でこまっしゃくれた<レディ・バード>をチャーミングに演じていたのだ!
ぼくのチケット代は、2400円出してもいい作品でした。
星印は、4ッ半さしあげます。

5点満点中4.5点 2400円

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