この作品の<キーワード>は[アーミッシュ]というプロテスタントの一派です。機械文明を否定して!17世紀の生活様式を頑固に守りながら、同時に<非暴力>を信条にしてペンシルバニアの田舎で暮らしている集団です。ぼくは、この映画ではじめて[アーミッシュ]について知りました!
ペンシルバニア州の州都フィラデルフィアの駅のトイレで殺人事件が起こる。偶然それを目撃したアーミッシュの少年サミュエルに、刑事ジョン・ブック(ハリソン・フォード)は、サミュエルと同行していた母レイチェル(ケリー・マクギリス)に捜査協力の依頼をする。サミュエルは署内にいたジョンの同僚の刑事マクフィーが犯人だと言うではないか。目撃者を保護するためジョンはフィラデルフィアに止まることを言うがレイチェルは堅く拒否する。アーミッシュの教義でアーミッシュ以外の人とまみれることが禁止されているのだ。サミュエルの身を守るため、ジョンはアーミッシュの村に入っていく。レイチェルは夫を亡くしてサミュエルと夫の祖父と暮らしていた。そこに入ったジョンに村人たちは白い眼を向ける。署の仲間に連絡をとりながらアーミッシュの村に居座るジョンは、しだいにレイチェルに好意をもちはじめる。そしてアーミッシュのすべて手作業という原始的共同生活になじみはじめ、村人もジョンを仲間として扱いはじめた頃、サミュエルを狙う一団が入ってきた。そしてその首魁にはジョンが驚愕する人物がいたのだ。非暴力を貫くアーミッシュの村でジョンはサミュエルの命を守りきれるのか?そしてレイチェルとの恋の行方はどうなるのか・・・。
この作品を見ながらあらためてアメリカという多民族国家のもつ精神的支柱にある宗教観の複雑さに考えこまされました!中心宗教であるプロテスタントだけでも多種にわたる教義があり、その戒律がそれぞれ微妙に違うがゆえに偏見が生じ、さらにカトリック・ユダヤ教・イスラム教などなどの人々がアメリカの法のもとで共存するむつかしさ!それをこの作品はサブテーマにしながら法の番人である警察機構の汚れから派生するスリリングな刑事捜査物をメインで描く手法が見事にマッチした秀逸な内容となっているのです!同時にその狭間に身を焼く切ない恋物語にもなっているのです。レイチェル役を演じたケリー・マクギリスはサイコーでしたね!
ぼくの星印は、5ッさしあげたい作品でした。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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