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決算!忠臣蔵

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   2019/11/26

衛藤賢史のシネマ教室

「殿、利息でござる!」で農民たちのお金にまつわる心意気を良質なコメディに仕立てあげた中村義洋監督が、今度は時代劇定番の<忠臣蔵>の討ち入りまでにどのくらい費用がかかったかという!意表をつく<忠臣蔵>コメディに挑戦してきた作品。

元禄14年(1701)年3月14日、5代将軍・綱吉の治世下。播州赤穂の浅野内匠頭(阿部サダヲ)が、江戸城中松の廊下で吉良上野介に刀を抜いて切りかかるという大事件がおこる。内匠頭は当時の法律により即日切腹、赤穂藩は改易(取り潰し)の危機に陥った!その報を受けた赤穂の家臣たちは上へ下への大騒ぎ。筆頭家老の大石内蔵助(堤真一)は、その大混乱の中まずは藩存続を願うため要人たちに働きかける費用と、改易になった場合の家臣たちの退職金(割賦金)の費用の計算を勘定方(経理担当)の矢頭長助(岡村隆史)に命じる。内蔵助はとんとお金に関しては疎いのだ。お家断絶か再興かを両天秤にかけて大車輪で動いた内蔵助だったが、幕府の決定は最悪の藩の取り潰しの決定となってしまい浅野家家臣全員が浪人(リストラ)となる。さらに吉良上野介はお咎めなし!法律での<喧嘩両成敗>が守られず、武士の一分が立たない浅野の家臣たち。とりわけ江戸屋敷の堀部安兵衛(荒川良々)などの武闘派は、吉良家へ討ち入りを主張し、江戸の庶民も<判官びいき>で熱狂し、いつ浅野家臣が吉良家へ討ち入りするかかたずを飲んで見守っている事態となる。なればやるしかない。だが、先立つものは<お金>。矢頭たち勘定方の計算では、討ち入りするまでの諸費用は約千両(9500万円)。そんな金あらへん!憮然とする内蔵助に、矢頭たち勘定方は内蔵助の正妻・瑤泉院(石原さとみ)の持参金<化粧金>が千両あると報告し、それを討ち入り費用として使用することになる(瑤泉院は、わらわのお金を使うのかとプンプンだが了承してくれる)。費用の面でできる限り人数制限する内蔵助と勘定方。内蔵助は愛妻理玖(竹内結子)に迷惑かけないよう離縁し、討ち入り準備(と言っても女好きで金に疎いので散財ばかりして勘定方を悩ませるが)に入るが・・・。

討ち入りまでの過程で、どれくらい費用がかかるのかという視点の<忠臣蔵>物語なんて?と思う正統派のファンも是非見て欲しい超楽しい内容となっているのです!現代と同じ江戸時代も何をするのもすべてお金がかかってくる!という現実を赤穂浪士たちも、しみじみ味わいながら行動する様がおかしく愛らしく描かれており、共感しながら見られる作品でした!そして討ち入りシーンなしなんていう、つまり討ち入り後はもう金の心配はないのだから!という演出センスも冴えた秀逸なコメディ作品でした。
ぼくのチケット代は、2400円出してもいい作品でした。
星印は、4ッ半さしあげます。

5点満点中4.5点 2500円

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