<素人衆を巻き込むことは厳禁>を鉄則とする筋目正しい阿岐本組が、経営不振の高校の立て直しに協力する、今野敏の人気小説<任侠>シリーズの第一作の映画化作品。
義理と人情を重んじるヤクザの親分の阿岐本(西田敏行)は、社会奉仕に目がなくつぎからつぎへと素人が巻き込まれた厄介事に介入する癖がある。今ではそんな<義理と人情>を鉄則とする昔かたぎのヤクザは人気がなく、阿岐本を含めたった6人の組員の集団だが、ナンバー2の日村誠司(西島秀俊)を核として組員の結束は堅い。ある日、日村が阿岐本に呼ばれた。今度は経営不振に陥り廃校寸前の私立高校の再建に尽力すると言うのだ。阿岐本が高校の理事長、日村が理事、組員たちも何らかの職員として高校に勤務しながら立て直しを図る、という難題に日村は逆らえず高校に乗り込む事になった。校長(生瀬勝久)はびっくりしたものの理事である日村の進言である、高校の美化に協力する意を示してくれる。しかし高校一のツッパリ娘(葵わかな)はいい顔をしない。割られたガラス、花壇の手入れなどをする日村たちに白い眼を向けていたが、ある事で日村たちに好意を示しはじめる。日村や組員たちの基本的マナーを大事にする教えに、生徒たちもしだいに理解しはじめ良好な関係になりはじめるが、父兄たちの一部が策動する動きがでた。じつはこの高校が高速道路建設計画の範疇に入っており、その利権に関わる父兄が阿岐本たちの尽力を邪魔であると考え追い出そうと画策していたのだ。日村や組員たちと、日村にくみする生徒たちはその画策を壊そうと試みるが・・・。
水戸黄門さまシリーズの悪と善の立場を真逆としたような、痛快パロディ話しが小説の売りであり人気になっていたのだが、筋立てが荒っぽすぎて笑うに笑えない内容となっていたのがイタイ!少ない組員たちの持つ特殊な技術など台詞のみで説明するため、彼らのキャラクターが生かされず、日村ひとりの独演物という中身が空洞のような設定となっているのだ。またワルの父兄たちの背景もよく分からず、ただ小説のストーリーをいたずらになぞっているだけでは原作本に失礼だと思う内容の作品となっていたのだ。
ぼくのチケット代は、1600円ぐらいかなと思う作品でした。
星印は、2ッぐらいが妥当と思う作品です。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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