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グリーンブック

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   2019/03/05

衛藤賢史のシネマ教室

この作品を観た人の誰もが、今年のアカデミー作品賞を受賞したことに納得するであろうと思う。すぐれた娯楽作品でありながら、言わんとする骨太のテーマがしっかりと描写された「これぞ映画ぞ」というワクワク感をたっぷりと味わいながら堪能できる秀作となっているのです!!

1960年、アイルランド系のJ・F・ケネディが大統領に選出された。その2年後のNY。一流のナイトクラブ<コバカナーバ>で用心棒を勤めるイタリア系のトニー・リップ(ヴィゴ・モーテンセン)は、店の改装のため2カ月の閉店でその間別の仕事が必要になった。愛する妻ドロレス(リンダ・カーデリニ)と二人の幼い息子を自分の腕っ節一本で養ってきたので、無給の2カ月は家計に響き困るトニー。そんなトニーをスカウトしたのは、超一流のピアニストで黒人のドクター・ドナルド・シャーリー(マハーシャラ・アリ)だった。仕事内容は、これからの2カ月にわたる南部のコンサート・ツアーの運転手兼揉め事の処理役。黒人に偏見をもつトニーだが、家族を養うためには背に腹は変えられない。<グリーンブック>という黒人用旅行ガイド本を渡され、トニーとドクター・シャーリーの黒人と黒人を庇護する白人にとって危険な深南部への各州をまたぐ旅がはじまる。無学で粗野なトニーと、高い学歴をもつ知性あるピアニストのシャーリーとの真逆の2人組の組み合わせの旅は、黒人を人間扱いしない深南部の行く先々で様々な偏見にぶつかっていく出来事の中で、おたがいへの理解がしだいに深まっていく。貧乏で学校もろくに通えず無学だが、したたかに生きていくための知恵をもつトニーと、天才的頭脳を有し最高学歴をもつインテリのピアニストだが黒人ということで内面を隠して生活せざるを得ないシャーリー。二人の真逆コンビの人間尊厳への道程となる珍妙な旅の果てに待っていたのは・・・。

この作品は、どんな人が観ても見入ってしまう内容となっています。笑い、理不尽に腹を立て、人間を愛したくなる娯楽映画であり、同時に観おえた後、作品を通してまっすぐに貫く骨太のメッセージ性を真摯に受けとめられる秀作でした。これが実話を基にした話であるのも驚きでした。脚本に参加したニック・バレロンガは、トニーの息子なのです!
ぼくのチケット代は、2500円出してもいい作品でした。
星印は、5ッさしあげます。

5点満点中5点 2500円

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