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十二人の死にたい子どもたち

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   2019/01/29

衛藤賢史のシネマ教室

倉持裕の緻密な脚本構成と、堤監督の実験的描写によって、この作品は青春映画の秀作となっていた!若手の旬の俳優たちもそれぞれの与えられた役柄を咀嚼した演技を見せさらに映画に力を与えているのだ。

ある閉鎖された病院跡に、ネットの募集で応募した少年・少女12人が集団自殺しようと三々五々約束の時間に集まってきた。募集主催者のサトシ(高杉真宙)の司会で、それぞれ自己紹介していくが、なんとその部屋に13人目の死体がベッドに寝かされていた。集まった12人しか知らない場所であり、犯人はこの中にいるはず?安楽死する約束の時間を延長し、犯人探しがはじまる。シンジロー(新田真剣佑)と名乗った穏やかな表情をした少年の推理力が冴え、勝気で知性のあるアンリ(杉咲花)や、淡々とした表情のノブオ(北村匠海)、すぐに人に突っかかる激情的なメイコ(黒島結菜)などがグループに分かれ、シンジローの推理を頼りに広い病院跡の中を殺人の痕跡を探しはじめる。そしてその過程の中で、12人の少年・少女たちのそれぞれの事情から死を望む理由がしだいに浮き彫りにされていく。
なぜ場所がこの広い病院跡なのか?
なぜこの12人は死ぬことを強く望むのか?
すぐに安楽死できるつもりの12人が、見知らぬ13人目の死体の殺人犯を探す限られた時間の中で12人の疑心暗鬼の心や自身の心の微妙な変化の中・・・。

冲方丁の同名小説を、演劇作家の倉持裕による緻密な構成での台詞劇による脚本を、堤監督の大胆な演出による長回しのショットなどの手法により、演劇と映画のコラボレーションが見事にシンクロした内容となっていた。加えるにこの台詞多用の演劇的手法に見事に食いついた若手俳優たちの演技が、この作品の価値をさらに高めた!それによってこの作品は、見る大人の心をも内容に完全に感情移入させてくれる出色の青春映画となっていたのだ!
この作品は本当にお勧めできる質の高い映画となっているのです!
ぼくのチケット代は、2300円出してもいい作品でした。
星印は、4ッ半さしあげます。

5点満点中4.5点 2300円

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