<クイーン>誕生のいきさつから、伝説の「ライヴ・エイド」までを、ボーカルであるフレディ・マーキュリーの破天荒な行動を描いたこの作品は、圧倒的迫力と悲しみに満ちた内容によって見る者の心を鷲づかみにさせる傑作となっていた!
1970年。ロンドンでライヴ活動をする学生グループのヴォーカルが脱退した時、自らを売り込んできた若者がいた。その音声の幅の広さに魅了されたメンバーは、ヴォーカルとして仲間に入れる。後の<クイーン>が誕生した瞬間だった!メンバーはギターのブライアン・メイ(グウィリム・リー)、ドラムのロジャー・ティラー(ベン・ハーディ)、ベースのジョン・ディーコン(ジョゼフ・マッゼロ)、そしてヴォーカルでピアノのフレディ・マーキュリー(ラミ・マレック)。フレディの本名はファルーク・バルサラといい、両親はインド系のゾロアスター教徒で厳格な家庭に育った子だった。さらに多歯症で容姿に自信のないフレディをメンバーはグループに受け入れてくれたのだ。天才的資質をもつフレディのメンバー入りで、みるみる人気を博し、一年後フレディのアイデアでグループ名を<クイーン>に改称する。そんな中、フレディはメアリー(ルーシー・ボーイントン)と出会い結婚した。やがてシングル「キラー・クイーン」が大ヒット。高い音楽センスを持つメンバーそれぞれのアイデアで、当時としては6分以上もかかる異色の長さの曲「ボヘミアン・ラプソディ」など数々の大ヒット曲を放ち、一躍世界的大スターの階段を登っていく。しかし、フレディの傑出した歌唱力と奇抜なパフォーマンスなどに集中的人気が高まると、少しずつメンバーの結束にヒビが入りはじめる。さらにフレディ個人の人気で金儲けを企む出来事や、彼の性癖の問題も重なり、メンバーは解散状態となる。そしてフレディの体調も最悪の状態のなか伝説となったチャリティ・コンサート「ライヴ・エイド」への出演依頼がくる。世界的ミュージシャンの出演する、このコンサートに出る決心をするフレディたちだが・・・。
<クイーン>の音楽をそのまま採用し、フレディの生の歌唱を聞くことの出来るこの作品は、単なる伝記物ではない。見るぼくらの血をたぎらせるような気持ちにさせてくれる上質な内容となっていた。ラストの「ライヴ・エイド」のシーンに結集される、いい音楽のもつ魂に染み込む力の凄さに、勝手に躰が震えるような感動を覚えさせてくれる魅力に満ちた作品であった!
ぼくのチケット代は、2600円出してもいい作品でした。
星印は、5ッさしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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