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それでも夜は明ける

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   2014/04/15

衛藤賢史のシネマ教室

アメリカの奴隷制度の闇を描き、2013年度のアカデミー作品賞を獲得した作品。
また、助演女優賞を新人のルピタ・ニョンゴがその見事な演技で受賞した。
1841年、南北戦争が始まる20年前。北部に住むソロモン・ノーサップは自由国民の証明書を持つ音楽家で、愛する妻とふたりの子供と幸せに暮らしていた。しかし、ワシントンのサーカスショーで演奏を依頼され、騙されたと気付いたときはすでに遅く、南部に拉致され奴隷として売り飛ばされた。プラットという名前で呼ばれたソロモンは、牧師で大農園主のフォードに買われ製材所で働かされる。知的で有能なプラットをフォードは可愛がるが、無知な白人のディビッツはプラットを憎み、何かと難癖をつけてはプラットをいたぶる。ある日、プラットを鞭で叩こうとしたディビッツに堪忍袋の尾が切れたプラットは反撃してしまう。その場は監督官とフォードのおかげで事なきを得たが、執念深いディビッツは仲間と共にプラットを遅い縛り首にしようとする。その事件でフォードは、農園の赤字を埋めるため広大な綿花栽培の経営物で酒乱のエップスにプラットを売る。エップスは暴力で奴隷たちを支配する男だった。またエップスは若い女性の奴隷パッツィーを弄んでいた。人間としての尊厳を剥奪され商品としての奴隷の身分のプラットとしていつの間にか12年という歳月が流れる。北部の生まれながらの自由黒人のソロモンは来る日も靴ひも過酷な労働とエップスのサディスティックな仕打ちに心が萎えていくのだが、この出口の全く見えない絶望の淵でプラットと呼ばれる奴隷から、いつの日にかソロモンとして愛する家族に再会し人間として生きる!という気持ちだけが心の唯一の支えとなっていたのだ、そして…。
1853年に出版されたソロモン・ノーサップの「12years a Slave」を基にした、この作品は真実の話であるだけに、南部の黒人奴隷たちの凄惨な生活に身の毛がよだつ思いがする。そしてイギリス出身の黒人監督S・マックィーンは激情に駆られることのない知的な演出によって、一瞬たりとも目の離せない骨太のドラマ構成に仕上げた。
是非、一見してもらいたい人間の尊厳とは何か!を描いた作品となっているのだ。
ぼくのチケット代は、2500円を出してもいいと思う作品でした。
星印は5つ差し上げたい作品です。

5点満点中5点 2500円

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