アメリカン・コミックのヒーローの中で、日本人にあまりなじみのない人物が「キャプテン・アメリカ」だろう。彼は二次大戦中に特殊な血清を打たれ不死身のヒーローとして活躍するが、世界制覇を狙う悪の組織<ヒドラ>の爆弾を身を持って制止するも、その氷の中で70年近くも仮死状態になっていたのをアメリカ軍のシールドに救い出され現代の世界に蘇った。氷漬けのままであったので、肉体は20代のままであり、シールドに協力して現代の悪と戦っているが、まだテクノロジー社会に馴染んでない、という設定になっている。映画では、「キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー」(2011)に初めて日本に紹介され「アベンジャーズ」(2012)でもほかのコミックヒーローたちと活躍している。 今回は、世界平和維持組織シールドが平和維持のためと称して巨大空中母艦へリキャリアを建造して全世界を監視しようとする計画を立てるが、キャプテン・アメリカは、そのシールドの余りの傲慢なやり方に疑問を持つ。そんな中、シールド長官のヒューリーが命を狙われる事件が起こる。そしてキャプテン・アメリカもブラック・ウィドウにも、その魔の手が迫る。ヒューリーはキャプテン・アメリカに「誰も信じるな」という言葉を残すが、それは仲間であるシールドの組織を示していたのだ。キャプテン・アメリカは悪の組織<ヒドラ>が再び胎動し始めたことを知る。孤立無援のふたりに服役した空軍のエリート部隊に属していたファルコンだけが味方となり反撃に移る。 そんな中、キャプテン・アメリカに匹敵する強敵ウインター・ソルジャーが現れ、キャプテン・アメリカに襲いかかる。 シールド内部に何が起こっているのか?ウインター・ソルジャーを操る黒幕は誰なのか?キャプテン・アメリカの絶望的戦いが始まる…。 現代のテクノロジー最新機器に馴染めないレトロのヒーロー・キャプテン・アメリカの活躍を描くこの作品は、要所に現代への皮肉も入り、結構チャームな内容となっている。アンソニー・ルーの兄弟監督の演出のテンポもいいので退屈せずに楽しむことのできる娯楽作品となっている。映画を楽しみたい方にお勧めできる作品である。ぼくのチケット代は2,000円出してもいいと思う作品でした。 星印は3つ差し上げたい作品です。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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