日本に先駆けて世界61か国で公開され、各国で大ヒットを記録しているという情報が入ってきていたものの、見るまではその内容とゴジラの姿に少し懸念していたが、いやぁ確かに見応えのある作品になっていました。そして、ゴジラに対しての制作側・監督のリスペクトがあり、日本人としては満足できる内容となっていました。
まず、フィリピンの巨大な炭鉱の崩落現場の巨大なスケール感のある描写からはじまるシーンから、この作品は超大作であるという雰囲気を我々観客に示してくれるのだ。
そして舞台は日本へと移り、原子力発電所が謎の異常震動で崩壊する。
それから15年後の2014年となって本筋のドラマが始まっていく。
発電所で妻を亡くしたブロディ博士は日本に留まって謎の崩壊の原因を追究している。
ブロディは異常震動が謎の巨大生物の仕業と考えていた。
禁止地帯に入ったため警察に捕まったブロディは、軍人となってアメリカに住む息子のフォードを保釈の保証人になってもらうため日本に呼ぶ。そして渋るフォードを連れて再び禁止地域に入る。そこで見たものは、ムートーという放射能を餌とする巨大怪獣であった。その研究をしている芹沢博士らの国際組織<モナーク>はブロディ親子を仲間に入れる。しかし、ムートーはその施設を破壊し、ハワイへと進む。ハワイにはもう一匹のムートーがいたのだ。そのハワイに別種の怪獣もムートーを追うように深い海中から姿を現す。ムートーよりもさらに巨大なゴジラだった。超古代、地球が放射能に覆われた時代に放射能をエネルギー源とした怪獣は人間が原子力を開発したため蘇ってきたのだ。あらゆる手を尽くしても人間お力では退治できない怪獣に人間世界は破滅しようとしていたのだが…。
体長が100mを超すような超巨大怪獣に翻弄される人間社会を描いたこの作品は、人災というテーマを内在しながら、エンターテインメントな内容を満載したスケール感のある映画となっている。
そしてこの作品が初メジャー監督となるG・エドワーズは、テンポのいい演出で観客の目を最後まで釘づけし、ドラマ性の強いインパクトのある内容に仕上げたテクニックは見事である。
日本人の目から見ても十分に満喫させられるゴジラ映画となっているのだ!
ぼくのチケット代は、2,300円を出してもいいと思う作品でした。
星印は4つ差し上げます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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