松岡圭祐の人気ライトノベル『万能鑑定士Q』シリーズは、該博な知識や時事ネタが満載され、主人公の凛田莉子のユニークでキュートなキャラと相まってベストセラーの常連客となっている。
この作品は、この『万能鑑定士Q』シリーズの初映画化であり、『万能鑑定士Qの事件簿』のIXから採択した内容となっている。
内容は、ある事件で知り合ったルーブル美術館アジア圏代理人・朝日奈は、莉子の烔眼に感服し、日本で開催されるルーブル美術館の至宝である<モナ・リザ>展の臨時学芸員に推薦することからはじまる。莉子は押しかけ同行取材の雑誌記者・小笠原悠斗と共にパリに赴くことになる。ルーブル美術館の贋作を見破る難しい採用試験の数々を、東京芸術大学の特別研究員・流泉寺美沙と合格し、日本で展覧会開催の期日までルーブル美術館から指名を受けた真贋鑑定の権威であるリシャール・ブレから<モナ・リザ>についての特訓を受ける。小笠原はその過程を取材しながらはじめて綿密な取材の楽しさと、ミステリアスな莉子の過去への関心を抱く。しかし莉子は<モナ・リザ>の瞳に書かれた謎の文字についての知識を知るにつれ、どんどんと体長が悪くなり、他に類を見ない鑑定能力の機能が低下してしまい、絶望した莉子は行方不明になってしまう。悠斗は必死で莉子の行方を探し、出身地の沖縄の島にいることをつき止め、現地に飛び説得する。
なぜ莉子の鑑定能力が低下したのか?それは本当に<モナ・リザ>の瞳に書かれているという謎の文字の伝説が莉子の精神に祟ってきたのか?
日本で開催される<モナ・リザ>展の期日は刻一刻と迫ってくる、果たして莉子の体調はそれまで戻るのか・・・・。
原作の凛田莉子の純粋で天然なキャラと、綾瀬はるかの天然キャラがよくマッチし、綾瀬あっての映画化企画と思う作品である。
ルーブル美術館ロケなど話題性もあり、前半はテンポもよく話が進んでいくので楽しく見ることが出来るのだが、後半に入るとかなり雑な内容となってしまったのが惜しい!
沖縄時代の莉子と高校の担任のトンチンカンな会話シーンは笑わせてくれ、原作を読んだことのない観客にも莉子の可愛い天然ぶりがよく分かるシーンとなっているが、やはり本筋の<モナ・リザ>の秘密の話も、それくらい明解にする工夫が欲しかったと思う。
ぼくのチケット代は、1,900円ぐらいかなと思う作品でした。
星印は、2つ半さしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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