「犬鳴村」(;20)に続く心霊スポットを舞台にしたホラー作品です。
富士山麓下の人間の手が加えられていない鬱蒼たる青木ヶ原樹海。そこは自殺者が多い場所でもある。
引きこもりの少女・響(山田杏奈)は、YouTuberのネット仲間と樹海で行方不明者が続出する事件を捜索し禍々しい気配を感じる。軽い気持ちで参加する仲間と違って響は心霊の[気]に共鳴してしまう。姉の鳴(山口まゆ)は、そんな特殊な[気]を持つ響に恐怖を感じていた。姉妹には新婚夫婦と由緒ある寺の息子と親しい仲間がいるが、その新婚夫婦の家から不気味な箱<コトリバコ>が発見され、響はその<コトリバコ>から発する[気]に取り込まれてしまう。寺の息子から話しを聞いた父の住職は、その<コトリバコ>のお祓いをするが寺はその夜に火事で全焼してしまう。警察の調べで響が放火したことが判明し、響は精神の病からと診断され病院に収容されるが、<コトリバコ>に封印された呪いの恐ろしい力に導かれるように鳴は樹海に入っていく。そして、そこに見た<樹海村>の禍々しい怨念の力と響・鳴の姉妹の家庭との因縁を知るのだが…。
心霊スポットの恐怖を描くこの作品は、成仏できない魂の怨念に憑りつかれた家庭の過去の因縁が絡む内容となっている。こういう因果が巡る内容の怪談話しは、キリスト教などの国ではホラーの分野に入らなかったものを、清水崇監督や中田秀夫監督などの作品によってアメリカの若者層に支持され[貞子]シリーズの人気になった経緯があるのだ。この作品も恨みを飲んで亡くなった人々の怨念話しなのだが、正式な怪談話しでなく心霊スポット譚という、若者たちのネット上の軽いノリに立脚した内容となっているので魂が凍えるような因果応報の怖さはない!そうなると物語に重きを置くのではなく、視覚的に驚かす!というCG技術に頼る内容に化してしまっていたのだ。さすがの清水監督も勝手が違っていたのかな?
ぼくのチケット代は、1700円ぐらいかなと思う作品でした。
星印は、2ッぐらいかなと思います。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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