今回のジャッキー・チェンの役柄は、世界を股にかける中国の特殊護衛会社[ヴァンガード]ロンドン支社のリーダーとして、若き精鋭たちを統率しながら自らも現場で活躍するという、いわば師範的役を演じています。
世界中のVIP警護に当たる[ヴァンガード]社ロンドン支局の責任者トン・ウンテン(ジャッキー・チェン)は、中国の実業家チョンから護衛の依頼を受ける。チョンは、ある事情から悪名高い傭兵組織[北極狼]から狙われていた。チョンの依頼は自分のガードと、アフリカで野生動物の保護をしている娘のガードもしてくれというものだった。トンは自分が鍛えあげた精鋭たちと共にアフリカに向かう。しかし[北極狼]一味もアフリカに来ており、はげしい戦いの末チョンの娘と若手隊員が誘拐されてしまう。[北極狼]を雇ったのは中東のダーティ実業家で、チョンはその実業家と手を組んでいたが、そのダーティな手法に嫌気がさして協力するのを止めたのだが、大金を持ち逃げしたと思われ執拗につけ狙われていたのだ。[ヴァンガード]社ロンドン支局は、情報からチョンの娘と若い隊員が連れていかれた場所が中東にある実業家の本拠であると特定し、ふたりの救出に向かうのだが…。
カンフーの腕一本で悪者たちを成敗するというジャッキー・チェンの従来の作品と異なり、全編はげしい銃撃戦の派手派手しい演出が際立つ内容となっていた。物語の舞台もイギリス・アフリカ・ドバイetc世界を股にかけたロケによるスケール感が売り物のひとつにもなっているのだ。もちろん、銃撃戦の間に肉弾相打つジャッキー・チェンや若手俳優たちのカンフー演技の迫力満点さや、カーチェイス、急流でのカヌー下り、笑いを誘うギャグなども随所に挟む、ジャッキー・チェン映画定番のてんこ盛りのサービス精神を感じさせる娯楽作品となっていた。だが、楽しく見ながらジャッキー・チェン映画が、怖いような自信をつけた今の中国の巨大資本の中に飲み込まれつつあるような寂しさを感じる作品でもあったのだ。
ぼくのチケット代は、2300円出してもいい作品でした。
星印は、3ツさしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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