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人形時代劇怪獣映画『狭霧の國』監督・佐藤大介さんインタビュー

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   2020/07/03

アニマジン

シネマ5で6月27日から上映中の人形時代劇怪獣映画『狭霧の國』。この映画の監督・佐藤大介さんは大分県出身。そして舞台も大分県竹田市という、大分つながりが満載の作品です。映画について佐藤監督にお話していただきました。(※本インタビューは1月に実施しました)

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―― 監督は大分のご出身なんですね。ロケ地を大分県竹田市にしたのは、どうしてだったのですか?

佐藤:出身は大分県大分市ですが、竹田市は子供の頃に住んでいました。子供のころから特撮映画が大好きで、いつも見ている風景に怪獣がいたらどんな感じかなぁと想像していました。

―― 人形劇と着ぐるみ怪獣を組み合わせた怪獣映画は珍しい表現方法です。今回取り組んだのはなぜでしょうか?

佐藤:特殊撮影を使った映画で造形物からCGに移行しているのは世界的な流れですが、僕は造形物の表現にはまだ可能性があると思っています。

造形物を用いた特撮映画が減っている理由のひとつは、表現者がイメージした通りのものが作れるということと、技術の進歩でコスト的にも安くできるようになってきていることがあると思います。また、若い世代であるほどハリウッドのCGを見てきているので、ミニチュアと着ぐるみを使った特撮では、本物に見えづらくいのではないかと思っています。であれば、造形物の「人形劇」の中にミニチュアと着ぐるみの怪獣が出てくる形にすれば、その世界観の中ではリアルさを確保できるのではと考えました。

―― 実際の撮影はどのようにすすめられたのでしょうか?

佐藤:撮影は本当に少人数で、ほぼ2人から3人(最大4人)で作っています。このような体制にしたのは、本来は多くの予算と多くのスタッフを使って短時間で作る工程を、時間をかけることで補えるようにするためです。また、音楽やビデオゲームの一般流通の中にインディーズレーベルが当たり前にあるように、少人数でも商業作品を作れるということを知っていただきたいという意図もあり、本作は「インディペンデント商業映画」とお伝えしています。

少人数でスタートしたからこそ、アイデアの芯がぶれずに完成させ、商業的にも成功した作品がたくさんありますよね。プロ向けのデジタル撮影機材も低い価格帯のものがリリースされていたり、ツールも進化していますし、少人数での制作はしやすくなっていると思います。

―― 最低2人ですか! 怪獣映画と聞くと大勢のスタッフがいて…というイメージがあったので驚きました。人形劇と組み合わせるという発想の転換あってこそですね。怪獣の着ぐるみ造形に必要な資金を集めるために、クラウドファンディングを実施されたと聞きました

佐藤:クラウドファンディングをはじめて、反応が早かったのは欧米、特にアメリカでした。一番は、怪獣造形家・村瀬継蔵氏が作る新しい怪獣を、自分も見たいという思いが海外の「怪獣好き」たちの共感を得たのかもしれません。村瀬さんは昭和ゴジラシリーズやガメラ、ウルトラシリーズ、仮面ライダーなどの造形も手がけ、現在の着ぐるみの基礎を築いた人物です。

―― 国内と海外では、造形物に対する反応が違いますか?『スター・ウォーズ』シリーズの新作でも、わざわざ現物を作ったり、フィルムで撮影したりCGとは異なるアプローチを行う商業映画も多いように感じます

佐藤:「着ぐるみ怪獣」ならではの動きや質感を理解してくださる方が多いように思います。みんなきっと「着ぐるみ映画」が観たいんです。米・シカゴで行われた怪獣映画の祭典「G-Fest 2019 Film Festival」で最初の上映を行ったあとも観客の方の熱量の高さが印象的でした。クラウドファンディングのイメージイラストものコミックアーティストのMatt Frank氏が描いてくれましたが、彼も日本の特撮マニアです(笑)

―― ファン同士が実際につながって、口コミが生まれる土壌があるんですね。さきほど、同世代ですね、とご挨拶していたときに伺いましたが、佐藤監督はOBSラジオの『アニメマインド』のリスナーだったんですか?

佐藤:それはもう(笑)録音して聴くほどのヘビーリスナーでしたね。大分のような「都会」じゃないところにアニメの話ができるラジオがあって、有名な声優さんがやってきたり「ラジオまつり」のような集まれる場があって「知り合いじゃないけれど、つながっている」メディアがあったことは幸せだったな、と思います。

―― 後継番組というコンセプトでスタートした『アニマジン』もそうなれるように続けていきたいです。今日はありがとうございました

(聞き手=さてつ[@satetsu/アニマジンスタッフ] 構成=たなかみのる[@houbutsusenパラボラ舎])

佐藤大介(Los Gatos Works代表)
1980年生まれ。大分市出身・東京都在住。造形家としての活動とともに、国内外の映像制作も行っている。怪獣造形の技術の普及のために、ギニョール造りのワークショップなど「怪獣造形」と子供の接点をつくる活動も行っている。
<人形時代劇怪獣映画『狭霧の國』公式サイト>https://www.sagirinokuni.com/
<クラウドファンディング(終了しています)>https://www.kickstarter.com/projects/383287682/keizo-murase-is-back-monster-suit-production-campa
人形時代劇怪獣映画『狭霧の國』は6月27日から7月3日までシネマ5(大分市府内町)で上映中。

6月26日(金)放送のOBSラジオ『情熱ライブ!Voice トヨタ街角ステーション』コーナーで人形時代劇怪獣映画『 狭霧の國』を紹介しました。 #radiko タイムフリーでどうぞ

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