;18年に公開された「孤狼の血」(原作:柚月裕子/主演:役所広司)の続編で、今回は松坂桃李が主演する作品です。
地元の国立大学を卒業し県警で将来を嘱望された日岡(松坂桃李)は、汚れた刑事としてマークされた大上の監視役として配置される内に、大上のアクを憎む警察魂に心酔し大上の殉職後、その志を継いでヤクザ組織の懐に入り込み対立するヤクザの調停役をしながら、目的達成の為には手段を選ばないダーティな仕事ぶりをする汚れた刑事と見られるようになっていた。ヤクザ組織にニラミを利かせるまでになった日岡の努力で、ヤクザ同士の抗争は影を潜め街は平穏になった頃、ひとりのヤクザが刑務所を出所して街に戻ってきた。男の名は上林(鈴木亮平)。残虐無比な性格でヤクザ内部でも<悪魔>と恐れられる上林の登場で、日岡が築きあげた睨み合うふたつのヤクザ組織の手打ちによる平穏がガラガラと崩れ落ち、ふたたび抗争がはじまっていった。自分に歯向かう者は、ヤクザであろうと一般人であろうと警察であろうと平然と残酷な方法で抹殺していく上林の無法ぶりは、日岡にも牙を剥いてくる。荒れ狂う上林に対して、警察内部で孤立している日岡に上林の犯行と見られる一般人の女性殺人捜査が命じられ、退職間近の老警官(中村梅雀)が相方としてつけられる。公安関係の仕事が長かったという彼に日岡は大上以来はじめて本音をもらす仲になる。しかし、ヤクザ内部を鎮圧した上林の狙う最後のターゲットは日岡に絞られ、刻一刻と日岡の立場は絶望的になっていくが…。
白石監督は前作の原作に沿った緻密なストーリー構成と打って変わり、今回は凄まじい暴力描写をまるで散文詩のように全編に散りばめつつ、日岡と上林の対立に雪崩れこむラスト構図へと描いていくのだ!その構成は敵役の怖さが観客の心に染みつく俳優の起用が大事になるのだが、上林に扮する鈴木亮平の起用は正解だった!半端ではない上林の怖さを鈴木亮平は圧巻の演技で見せてくれたのだ!それによってこの作品は締まる内容となっていたと思う。ただし、暴力描写の濃い作品が苦手な方にはお勧めできない作品でした。
ぼくのチケット代は、2100円出したい作品でした。
星印は、3ッさしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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