2018年、76歳で亡くなった伝説的歌姫アレサ・フランクリンの生涯を、現在の歌姫と言っていいジェニファー・ハドソンが扮して描いていく作品です。
指導力のある牧師の父(フォレスト・ウィテカー)の娘であるアレサ(ジェニファー・ハドソン)は、幼少の頃から類いまれな歌唱力を持つ少女だった。父はそんなアレサの天才性を愛しながら、二次大戦後にわき起こった黒人地位向上推進集会に連れていきアレサの歌唱力を利用していた。父の友人であるマーチン・ルーサー・キング牧師もアレサの才能を愛していた。だが、父は家庭では男性優位を誇示して娘たちに厳しく接する男であり、感受性の強いアレサは内心ではそんな父の態度にはげしく反発していたのだ。ハイティーンになったアレサは、その反動でジゴロ的男(マーロン・ウィアンズ)の誘惑に乗り、父の反対を押し切って結婚する。お仕着せの教会のゴスペル歌謡でなく、自分が歌いたい曲を求めて自由なジャズの世界に入ったアレサは、その類いまれな才能を発揮しはじめる。歌手として認められはじめたアレサは、妹たちを誘って自分のバック・コーラスに入れそのコンビネーションで人気は高まっていく。そんな人気をマネージャーである夫は自分の力と過信し、父と同じく男性優位の態度を取るようになりアレサを何かと干渉するようになる。男性の束縛を嫌うアレサは、「リスペクト」のオリジナル曲で女性への尊敬を歌い揚げるのだった。だが、キング牧師の暗殺のニュースでアレサの心は千々に乱れアルコールにのめり込む。しかし、決別したはずの家族や新しい夫の愛情に支えられたアレサは「貴方だけを愛して」や、多くの女性の心をつかんだ「ナチュラル・ウーマン」などの名曲を発表して伝説の歌姫として地位を確立していくのだった。
アレサ・フランクリンの心をゆさぶる歌唱力は天賦の才であり、誰にも追随できるものでないと思われたが、現在の歌姫ジェニファー・ハドソンの歌唱力によって見事に今に蘇ったと言っていいと思う作品になっているのだ。心につき刺さる歌唱力と歌詞の凄さを堪能できる作品となっているのです!
ぼくのチケット代は、2400円出したい作品でした。
星印は、5ッさしあげたい作品でした。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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