属する組織こそ違うも共に凄腕の殺しのプロである二人の男が、壮絶な死闘を繰り返す内容の話しを骨子にして、児童誘拐・臓器売買などの裏社会の暗部を絡ませて描きつつ展開させる、暗い情念を全編に漂わせる韓国映画のノアール・アクション作品です!
韓国政府の闇組織に属する暗殺者インナム(ファン・ジョンミン)は、東京のヤクザ組織の壊滅作戦を最後に引退する決心をしていた。作戦は成功したが、ヤクザのボスの弟で一匹狼の情け容赦のない凄腕の殺し屋レイ(イ・ジョンジェ)から兄の仇として狙われる。加えてインナムのバンコクに住む秘密の恋人が児童誘拐一味に殺され、インナムとの間に生まれた幼い娘が連れ去られたという知らせが入る。怒りに燃えたインナムは、バンコクに入り属する闇組織のツテをたどりつつ誘拐に関わった関係者に容赦ない拷問にかけ娘の居場所を探り当て救い出す。その頃、復讐の鬼と化したレイは、インナムを探しバンコクに降り立ち敵味方を問わず邪魔する者を次々と殺しながらインナムに迫ってきた。バンコクの裏社会に激震が走る中、インナムとレイの死闘がはじまった!母を喪い辛い眼にあわされた幼い娘を命がけで守ろうとするインナムと、兄の仇を殺そうとするレイとの、共に殺しのプロである壮絶な死闘だった。
児童誘拐をして臓器提供する悪辣な業者の間に入り、その組織を目茶苦茶にしながら死闘を繰り返すインナムとレイの戦いを根底に置きながら、ホン・ウォンチャン監督の目は裏社会の無慈悲な商いの有り様をも怒りを込めて描いていくのだ!見ていて救いの少ない内容にも関わらず、ホン・ウォンチャン監督は観客の目を背けさせる暇もない巧みな演出でスクリーンにくぎ付けさせてくれるのだ。例えば狂言回し的な、イヤイヤながらインナムの現地ガイドをさせられるゲイの子の陽気だが生き延びる術を知る子の役柄がそれであり、笑いを取りながらラストの重要な伏線にもなる存在がそれである。韓国ノアール・アクション映画のすごさが詰まった作品としてお勧めしたい内容でした。
ぼくのチケット代は、2300円出したい作品でした。
星印は、4ッさしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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