大分県出身漫画家・若杉公徳のギャグ漫画「KAPPEI」を、実写映画化した作品です。これまでプロデューサーとして辣腕を振るった平野隆が、はじめて監督に挑戦しています。
1999年7月に、世界が滅亡するという【ノストラダムスの大予言】を信じて、怪しげな師範(古田新太)の元で乱世の救世主たるべく、日夜修行に励んでいたカッペイ(伊藤英明)だったが、2022年になってもその兆候がまったくなく、師範は「終末の戦士」にサラっと解散を命じたのだった。呆然とする「終末の戦士」たちを尻目にキャバクラに電話する師範。長年にわたって山奥で修行に励んだカッペイは、いま浦島状態で東京に流れ着く。その大都会でカッペイは、気弱な大学生・啓太(西畑大吾)がカツアゲされているのを助けて、啓太のボロアパートに転がり込む。それがきっかけで天真爛漫な女子大生・山瀬ハル(上白石萌歌)と出会って、胸のときめきを覚えるカッペイ。今や日夜ハルのことばかり思うカッペイのもとに、ともに修行に励んだ守(大貫勇輔)・正義(山本耕史)・英雄(小澤征悦)たちがそれぞれの事情を抱えて現れる。そんな3人もアパートに転がり込まれて、悲鳴を上げながらかいがいしく世話を焼くお人好しの啓太だった。平和な東京で自慢の腕を振るうこともできない「終末の戦士」たちの、純情な恋のバトルがはじまった。さあ!!カッペイのハルへの武骨な初恋は実るのか・・・。
全編にナンセンス・ギャグを満載したこの作品は、「終末の戦士たち」の純情な初恋の行方を追いかける内容となっているのだ。原作の漫画を知らない人にとって、予告編のようにナンセンスな誇大なアクションシーンを期待すると、多分ガクッとのめってしまう内容になっているのです。それはそれで、心優しい世間知らずの武闘派の男たちの、戦うことよりも困難な初恋の思いをナンセンス・ギャグに彩られた初恋ドラマと受けとめて見れば、まあまあ!許してやる気持ちになるのではないでしょうか。その中で光っていたのは、啓太を演じる西畑大吾の気弱ながらやさしい心根の軽妙な演技ぶりでした!!ごくノーマルな演技をしながら、この作品でいちばん笑わせてくれるのです。注目していい俳優でした。
ぼくのチケット代は、1800円出してもいい作品でした。
星印は、2ッさしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
©2024 Oita Broadcasting System, Inc. All Rights Reserved.