これまで緒形拳や渡辺謙などが演じてきた『仕掛人・梅安』を、新たに豊川悦司が演じるリニューアル作品です。
表の顔は腕のいい鍼医者で貧乏な人からは金をとらない藤枝梅安(豊川悦司)は、裏では金で殺しの仕事を請け合う凄腕の<仕掛人>だ。闇の世界に生きる梅安が唯一心を許す友人は、同じ仕掛人の彦次郎(片岡愛之助)のみ。今回の梅安の殺しの標的は、料理屋『万七』の後妻・おみの(天海祐希)。絶世の美女だが、『万七』の前妻を殺して女将となり、いかがわしい商いをしていると噂の女性である。探りを入れる目的で『万七』に出入りする内、梅安は女中・おもん(菅野美穂)と愛し合う仲になる。二人の仲を知り梅安に挨拶する、女将・おみのの顔を見た瞬間、思わず息をのむ梅安!その顔は、梅安自身の暗い過去の身の上を思い出させるものだったのだ・・・。悶々として依頼された仕事を実行しようとする梅安と、彦次郎の仕事が交錯しながら、闇の世界での仕掛人の壮絶な殺しの仕事がはじまるのだが・・・。
原作の長身痩躰な藤枝梅安のイメージに近い、豊川悦司の演技は男の色気を漂わせてよく似合っていた。また江戸の町の遠景などの描写にCGを効果的に使用したスタイリッシュな映像美などの工夫は認めるが、錯綜させすぎるサービス過剰な内容構成によって、肝心の中心の『万七』における筋立てが、あまり感情移入できない内容となったのは残念であった。
ぼくのチケット代は、2000円出してもいい作品でした。
星印は、3ッさしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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