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サイド バイ サイド 隣にいる人

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   2023/04/18

衛藤賢史のシネマ教室

伊藤ちひろのオリジナル脚本であり、自身が監督をした作品です。散文詩を思わせるようなストーリーで綴られるファンタジーな内容は、独特の空気感が漂う作品になっていたと思うのです。都会を離れて、自然の風景が広がるある田舎に住む未山(坂口健太郎)は、看護師をしている恋人の詩織(市川実日子)とその幼い娘・美々(磯村アメリ)と暮らしている。未山には<そこにいない“誰かの想い”>が見える能力があり、この不思議な力で周囲の人々の傷ついた心身を癒していた。その未山に、東京にいるはずの未山の後輩・草鹿(浅香航大)の幻影が寄り添い始めた。強烈な想いを抱える草鹿を見えるのは、未山と幼い美々のみ。未山は、草鹿の想いに引かれて東京に行く。本物の草鹿はミュージシャンとして活躍し、未山の元恋人の莉子(齋藤飛鳥)と同棲しながら暮らしていたが、未山への想いを断ち切れぬ莉子は心が壊れていた。未山は莉子を自分の住む場所に連れて行くのだが・・・。

リアルとファンタジーが混在する【マジックリアリズム】とチラシに謳うこの作品は、ストーリーの流れを頼っていたら、頭が混乱する作品になっているのです。理性に頼らず、自分の感性に従って素直に見る内容となっていると思います。伊藤ちひろ監督の自然描写は目を見張るような美しさがあり、日本のやさしい自然の素晴らしさを心から感じられると思う光景に、監督の繊細な美意識の高さを感じました。ストーリー構成はあえて詳しく説明せずに、見る観客が自分の心の中でストーリーの細部を組み立ててくれることに任せるような形式にしていると思います。それがラストシーンの未山の不思議な立ち位置の解釈となるのです。未山を演じる坂口健太郎や、詩織を演じる市川実日子は、この不思議な作品にぴたりと合う役柄を好演したと思います。

ぼくのチケット代は、2200円出してもいい作品でした。

星印は、4ッさしあげます。

5点満点中4点 2200円

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