今!旬の監督・藤井道人が自身のオリジナル脚本で挑んだ、閉鎖的過疎の村に起こる【闇】の出来事を描く作品です。
代々神秘的な【薪能】の儀式が行われている過疎の『霞門村<かもんむら>』は、貧しい村の財政回復策として、村長(古田新太)と有力な政治家が組んだ、大規模ゴミ最終処分場を建設し、厄介なゴミの処分に困る地域からのゴミの全部を引き受けていた。過疎の村で貧困にあえいでいた村人たちが、そこで働いている中に片山優(横浜流星)の姿もあった。かつて亡き片山の父はゴミ処分場の建設に反対し、ある忌まわしい事件を起こして、片山家は村人から忌避されていた。そのせいで片山は、ゴミ処分場の責任者である村長の息子から壮絶なイジメを受けながら、生活費を得るため孤独に耐えていた。そんな絶望的な日常がつづく片山の目の前に、幼なじみの美咲(黒木華)が東京から戻ってきて、村役場の広報室責任者の役につく。幼いころに片山と美咲は、村長の弟(中村獅童)から村の伝統的【薪能】を教えられた仲であり、ふたりは慕情を募らせる仲であったのだ。美咲は広報室責任者として、ゴミ処分場が地方にとって役に立つ存在であるかを、大々的に宣伝するためにメディアを利用する。そして、その説明役に片山を抜擢する。片山の【薪能】の素質がメディアでの説明役としてテレビを見る人々の気持ちを爽やかにすると思ったのだ。この企画は当たり、『霞門村』のゴミ処分場の人気が上昇する。村人たちの片山を見る目も好意的になっていく中で、村長の息子の片山への憎しみが強くなるのを、片山と美咲は気づかなかった、そして・・・。
一夜の夢で50年の栄華を見る【邯鄲(かんたん)】の【能】を幻想的に見せながらはじまるこの作品は、現代社会に見捨てられたような過疎の村の再生策として『大規模ゴミ処分場』の建設をめぐる<闇の世界>を描いていく。しかしながら、気負いすぎたのか藤井監督の演出は、自身の悲憤慷慨に酔ったかのように陰々とした描写がつづくので、見ながら感情移入させてくれないのだ!登場人物の性格設定も粗いのも欠点になっていたのです!
ぼくのチケット代は、1000円出してもいい作品でした。
星印は、2ッさしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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