巨匠リドリー・スコット監督がフランスの英雄であるナポレオン・ボナパルトを、新解釈で描いた歴史スペクタクル作品です。御年86才ながら衰え知らずの腕を発揮して、英雄ナポレオンの生涯を見事な描写で描いていくのです。
1789年のフランス革命後、フランス国内の内政が混乱しきっていた時期の1793年。コルシカ島生まれで庶民階級の若き軍人ナポレオン・ボナパルト(ホアキン・フェニックス)は、フランス王妃マリー・アントワネットの処刑を見つめていた。野心満々の若き将校ナポレオンは、この時代の乱れに乗じて都市トゥーロンやパリの市街地での戦いに、軍人として目覚ましい活躍を見せ、軍の総司令官に任命される。その頃、夫を亡くした美しいが奔放な女性ジョゼフィーヌ(バネッサ・カービー)と恋に落ち結婚する。しかし、ナポレオンが近代的軍隊に編成したフランス軍隊を率いてエジプト遠征中にジョゼフィーヌは、別の男と関係を持ったことを知る。溺愛していたジョゼフィーヌの奔放な性格に激怒したナポレオンは、遠征からひとり離脱してフランスに戻り、ジョゼフィーヌを激しくののしる。それでもジョゼフィーヌを愛するナポレオンは夫婦生活を続けるが、二人の生活は奇妙なねじれを生む。その一方でナポレオンは英雄として破竹の勢いで、クーデターを成功させフランス皇帝に上り詰め、ジョゼフィーヌは皇妃になる。二人の間に子供が授からないのも原因の一つとしてナポレオンは、戦争にのめりこみ凄惨な侵略とヨーロッパ全部の征服を狙うようになる。そしてロシアに攻め入るが・・・。
大画面ならではの圧倒的なスケールで見せる戦闘シーンや、野心満々なフランス内部の勢力争いの数々を織り込みながら複雑に展開するこの作品で、リドリー・スコット監督が芯に据えて描きたい物語は、ナポレオンとジョゼフィーヌとの、【男】と【女】の【愛】の形の微妙なすれ違いから起こる男女の心理の深い溝から起こる悲劇なのだ!!
ぼくのチケット代は、2300円出してもいい作品でした。
星印は、4ッさしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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