和山やまの人気コミックを、『リンダリンダリンダ』などで青春物を手掛けた山下敦弘監督が映画化した、ちょっと変わった青春物語作品です。
中学校3年生で合唱部の部長を務める岡聡実(齋藤潤)は、声変わりに差し掛かりボーイソプラノが出ないのに悩んでいた。そのため大阪大会の合唱コンクールで優勝出来ず落ち込んでいた。合唱部を教えるモモ先生(芳根京子)は、まだ潤の声変わりの悩みを知らない。合唱コンクールを終えた潤は、見知らぬヤクザの成田狂児(綾野剛)に突然「カラオケ行こ!」と誘われ、歌のレッスンをしてほしいと頼まれる。実は狂児は、カラオケ大好きな組長(北村一輝)が主催するカラオケ大会で、最下位になった者に待ち受ける恐怖の罰ゲームを免れるために、組の若頭としてどうしても歌がうまくなりたいと言う。狂児の勝負曲は、X JAPANの『紅』だ。嫌々ながら歌唱指導を引き受ける聡実だが、狂児の声の質はいいのにガナルばかりの歌い方に呆れて正式な歌い方を教えてしまう。そして、聡実と狂児はカラオケを通じてヤクザと中学生という有り得ないつき合いに、次第に心が通い合うようになるが・・・。
変声期に差し掛かった中学生の少年と、強面が売りのヤクザの出会いがいつの間にか心を開いていく様子を、コミカルに描いていくこの作品は、ヤクザに扮する綾野剛と、オーディションで選ばれたというまじめな中学生に扮する齋藤潤の、ぴったりと息の合う演技によって異色の青春物として成功していたのだ。山下敦弘監督が、オーディションをしてまで中学生役に起用した齋藤潤の清潔な演技が成功しているのです!!
ぼくのチケット代は、2200円出してもいい作品でした。
星印は、3ッ半さしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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