夢枕獏のベストセラー小説『陰陽師』を佐藤嗣麻子監督が、安倍晴明が<陰陽師>になる前の物語をオリジナルストーリーで映画化した作品です。
魑魅魍魎の世界が跋扈したと信じる平安時代。呪いや祟りから、京都の都を守る役割を担う【陰陽師】の学舎である『陰陽寮』の省庁。この行政機関の低い身分である『学生(がくしょう)』の安倍晴明(山崎賢人)は、【呪術】に天賦の才能を有した青年だが、高い身分である【陰陽師】になる意欲も興味もない人嫌いの変わり者だ。そんな晴明の才能を苦々しく思う【陰陽師】の頭の藤原義輔(小林薫)や次席の惟宗是邦(北村一輝)。狐の母と人間の父から生まれたと噂される晴明の、稀有な才能を持ちながら出世を望まない態度にはげしい嫉妬を覚える、平民出身で40代になっても『学生』の地位に甘んじる平群貞文(安藤政信)。そんな中、晴明の噂を聞いた貴族で笛の名手の源博雅(染谷将太)から、皇族の徽子(よしこ)女王(奈緒)を襲う怪奇現象の解明を頼まれる。博雅と徽子は幼なじみでお互い慕情を抱いている。身分が低いのに生意気な晴明と、貴族の博雅は角突き合わせながらも親友になっていく中、ある学生の変死をきっかけに、都を巻き込む凶悪な陰謀と呪いが動き出す。若き晴明は都の闇に蠢く魑魅魍魎を祓えるのか、そして呪いに隠された真実を解明できるのか・・・。
安倍晴明がまだ世に出ない青年時代を描いていくオリジナルストーリーを、佐藤嗣麻子監督は流麗なタッチで描いてく。安倍晴明が繰り出す【呪術】の数々をCGで描き、【呪術】エンターテイナー作品としてスケールの大きなストーリーにしようと試みる演出の努力は感じるのだが、ドラマの骨格をなすストーリー構成が、主役の晴明の【呪術】描写と、脇の博雅と徽子の悲恋の二つのドラマが並行して、どちらに重きを置くかを迷わせる演出に戸惑うのだ。
ぼくのチケット代は、2100円出してもいい作品でした。
星印は、3ッさしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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