池波正太郎のベストセラー小説『鬼平犯科帳』シリーズを、十代目・松本幸四郎主演で新たに映像化する、時代劇シリーズの映画版です。
斬り捨て御免の<火付盗賊改方長官>、人呼んで【鬼平】の異名を取る長谷川平蔵(松本幸四郎)のもとに、彼が若い頃無頼の生活を送り【本所の鐵】と呼ばれた頃の居酒屋の娘・おまさ(中村ゆり)が現れ、密偵になりたいと申し出る。おまさは、居酒屋を営む父亡き後、盗賊と引き込み女をしていたが、平蔵が<火付盗賊改方長官>になったことを知り、罪を償うため幼き頃から淡い慕情を抱いていた平蔵に手下として働きたいと申し出たのだ。だが平蔵はその申し出を断る。平蔵のおまさへの思いやりだった。その頃、江戸市中で綱切の甚五郎(北村有起哉)を頭にする、押入る大店全部を皆殺しにする凶悪な盗賊一味が跋扈していた。その店には引き込み女として、おりん(志田未来)が手引きしていた。偶然にもこの店に忍び込んだひとりばたらきの老盗賊・九平(柄本明)が、おりんが引き込み女と知る。平蔵に断られたおまさは、平蔵があることから九平に目を付けたのを知り、独断で調査に乗り出す。なぜ、綱切の甚五郎が平蔵が<火付盗賊改方長官>に就任してから残虐な盗賊になったのか。おまさは九平と手を組み甚五郎の隠れ場所を探すが・・・。
若き日、【本所の鐵】と呼ばれ屈託した心から無頼の徒と交わり、暴れまわった平蔵の青年時代(中村染五郎)の過去と、現代の平蔵を交互に描写しながら、おまさとの淡い慕情と、甚五郎と平蔵の過去のいきさつとを描きながら、<悪を知って外道に落ちるか、悪を知って外道を憎むか>と思う平蔵の心意気を示すのだ。TVの中村吉右衛門のファンであった人にとって、松本幸四郎が演じる【鬼の平蔵】に不安を感じるかもしれないと思うが、幸四郎の平蔵の声色の良さと、太刀さばきの華麗さに安堵するでしょう。
ぼくのチケット代は、2200円出してもいい作品でした。
星印は、3ッさしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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