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5月15日 ON AIR!

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   2024/05/16

NO STAGE NO LIFE!

No Stage No Life!」ステージナビゲーター飯田裕美です。

515日の放送もお聴きくださり、ありがとうございました(^^♪

 

今回は12日に無事大千穐楽を迎えられた、「カムフロムアウェイ」の話題をお届けいたしました。

 

ストーリーは、2001911日。ニューヨークで同時多発テロが発生しました。その際、空を飛んでいて行き場を失くした38基の飛行機が、急遽カナダの最東端であるニューファンドランド島の小さな町ガンダー国際空港に不時着します。わずか人口1万人の小さな町に約7,000人の乗客・乗員と動物たち。ガンダーは一夜にして2倍近くの人口になります。いきなり外から来た人たちを迎え入れる事になったガンダーの人々と何が起こったかも理解できていない状況でガンダーに降り立つことになった人たちの、奇跡の5日間の

物語です。

100分間ノンストップ12人のキャストで、およそ100役を演じ分ける、驚くべき作品です。

 

写真①

 

キャストの豪華さも「日本ミュージカル界のアベンジャーズ12人」と話題となりました。

安蘭けいさん、石川禅さん、浦井健治さん、加藤和樹さん、咲妃みゆさん、シルビア・グラブさん、田代万里生さん、橋本さとしさん、濱田めぐみさん、森公美子さん、柚木礼音さん、吉原光夫さんの12人。(50音順)

このメンバーが同じ舞台上にそろうことはもう2度とないのではないかと、個人的には思っています。それほどの豪華キャスト!

 

スタンバイキャストの皆さまの陰の力も特筆しなくてはならないと思います。

上條駿さん、栗山絵美さん、湊陽奈さん、安福毅さんの4人です。

どの方も他の演目ではプリンシパルを演じることもあるような実力派の皆さまです。

12人のキャストがそれぞれに10役を演じる…スタンバイは4人??ということは、

スタンバイの方はなんとお一人約30役をも覚えなくてはならなかったわけです!

地方公演含め6会場で55公演ありましたが、結果一度もスタンバイの方の出演はありませんでした。これは素晴らしいことですが、何とも苦しいことでもあります。

大千穐楽の公式のSNSでは、幕の中でこの4人が黙々と稽古をしている様子が投稿されました。スタッフの皆さんの温かさを感じると同時に、影の力・支える力を全うした在り方に涙がこぼれました。

セットも衣装もシンプルさが際立つ作品でした。

舞台上には、2脚の椅子とテーブルのみ。背景には数本の木があるだけでした。

舞台転換もすべて俳優さんが行います。めちゃくちゃ忙しいですよね。歌う、芝居する、変身する、椅子や机を動かす、踊るなど、常にやる事だらけです。

セットや衣装をシンプルにしたのは、人間だけに焦点を当てたいという演出意図があったそうです。核となるのは、「人が人に何を与えるか、何をしてあげられるか」だったので、人間と人間同士のつながり、人間関係以外はできる限りそぎ落としたそうです。

 

写真②

 

多くの舞台の稽古期間は、大体2か月くらいですが、この作品は、半年の稽古期間を設けています。これだけのキャストを本番まで入れて8か月も抑えたわけですから、関係者すべての方の、この作品への意気込みを感じます。

出演者のお一人、石川禅さんが「12人全員がプリンシパルで、しかもその人たちがコーラスを担い、一人ひとりがとんでもない数のキュー(合図)を持つ。歌もセリフも一つ歯車がずれると全部がおかしくなる」と語っていらっしゃいました。森公美子さんは稽古場で何度も「覚えられない~~。私は誰~」と大泣きしたそうです。みんなで励まし合い、助け合い過ごした稽古期間。

だからか、このカンパニーの仲の良さ、呼吸の合い方には尋常ないものを感じます。

まだ公式や各出演者のSNSの投稿も見ることができますので、ぜひぜひご覧いただきたいです。

わずかな時間の動画や写真からでもその絆を感じることができると思います。

 

写真③

 

本作品は、12人全員が主役級にも関わらず、ソロ曲が1曲もありません。

その中でもソロパートが長めだった、濱田めぐみさんが歌う「私と空」というナンバーのシーンが個人的に印象深かったです。今回の濱田めぐみさんのメインの役は、アメリカンエアラインズ初の女性機長ビバリーでした。女性初の機長が誕生するまでのサクセスソングなのですが、途中から女性陣全員がコーラスで声を合わせてきます。繰り返しますが、主役級のメンバーがコーラスをしています。その重厚さは、もう本当に空を飛んでいるような、真っ青な空が見えるような壮大なもので、涙があふれ出ました。(ウィキッドを彷彿させます)

100分を通して、歌でセリフで「私はここにいます。ここにあなたはいます。」と伝えられます。以前、私も大切な方からまさしく同じことを言われたことがあり、その瞬間の光景を常々思い出しあったかな気持ちになったり自分を鼓舞したりしています。

その光景と舞台が交差して、心に響くシーンが大変多かったです。現実と虚構の世界を行き来できるのは、まさしく舞台鑑賞の醍醐味でもあると感じます。

 

この作品は、実話をもとに制作されています。歴史上の人物を描く作品は多くあるけれど、今この世界のどこかで生活をしている一般の方々を描いている作品は数少ないと思います。

今、私たちが忘れずに語り継がなくてはいけない様々な出来事。その中に、ガンダーの人たちが外から来た人達を快く受け入れ、自分たちは24時間働き詰めでみるみる痩せて行き、帰っていく人たちは23キロ太って帰っていった。というような心温まるたくさんのエピソードも、このミュージカルを通して語り継がれていくといいなと思います。

 

♪今日の

ブロードウェイ版「カムフロムアウェイ」より、

welcome to the rock

 

次回の放送は、65日(水)10:10頃からです。

ぜひお楽しみに(^^

 

写真④

 

 

ステージナビゲーター★飯田裕美

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