歴史にある<if>説で、アドルフ・ヒトラーの【南米逃亡】つまりヒトラーは生きている説を下敷きにした作品です。
1960年、南米コロンビア。ホロコーストで、家族全員を収容所で殺され、一人生き延びたユダヤ系ポーランド人のポルスキー(デビッド・ヘイマン)は、大戦後、コロンビアに移住して、とある町はずれのボロの一軒家で穏やかな日々を過ごしていた。チェスの選手であったポルスキーは、大戦中にチェスの選手権でヒトラーを目撃し、氷のように冷たい目が心に残っていた。そんなポルスキーの隣家に、15年前に56才で死んだはずのヒトラーによく似たドイツ人、ヘルツォーク(ウド・キア)が引っ越してきた。コロンビアのユダヤ人団体に、隣人がヒトラーだと訴えるが信じてもらえず、自らの手で証拠をつかもうと、図書館でヒトラーに関する本を読み、ヒトラーが左利きで、睾丸が1つとの噂?や、ヒトラーが描く絵画の特徴などを調べ、ヘルツォークの趣味や特徴に当てはまると確信する。でも、いつしかポルスキーは互いの家を行き来するようになり、チェスをしたり肖像画を描いてもらったりと交流を深めていく仲になっていく。そんなある日、ポルスキーはヘルツォークがヒトラーだと確信する場面を目撃する。そしてポルスキーがとった行動は・・・。
ユダヤ系ポーランド人として故国と思うポーランドで、平和を享受して暮らしていたポルスキーが二次世界大戦でユダヤ人ゆえに家族全員を、ホロコーストで失い一人寂しくコロンビアで暮らす中、ヒトラーによく似た隣人ヘルツォークを執拗に監視していく様を描くこの作品は、ヒトラー【南米逃亡】説をモチーフにして、隣人のヘルツォークとの交誼をレオン・プルドフスキー監督がユーモラスな手法で描いていくのです。果たしてヘルツォークはヒトラーであるか?は映画を見て確認してくださいとだけしか言えないのです!
ぼくのチケット代は、2200円出してもいい作品でした。
星印は、3ッ半さしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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