『映画 けいおん!』(11)『映画 聲の形』(16)でアニメーション界に新たな風を吹き込んだ、山田尚子監督の新作です。脚本は、山田監督と幾度となくタッグを組んでいる吉田玲子です。
幼い頃、母の経営するクラシックバレエを習っていたが、今は長崎のミッションスクール・虹光女子高等学校で寮生活をしている日暮トツ子(声・鈴川紗由)は、人の感情が【色】として見える不思議な能力を持つが、自分の【色】は見えない。そのためトツ子は友人や家族の【色】を暗くしないために、いつも皆に気を遣う少女になっていた。学校で美しい色を放つ作永きみ(声・高石あかり)に出会うが、きみは学校から姿を消す。休日のある日、トツ子は市内で白い猫に導かれるように、ひっそりと佇む古書店でバイトしているきみと出会う。そして、きみと同じように美しい色を放つ少年の影平ルイ(声・木戸大聖)が偶然にも古書店を訪れる。ルイは長崎の離島に住む音楽好きの少年だが、離島に暮らしている医者の母の跡を継ぐために医大を受験すると言う。それぞれに美しい色を放つきみとルイが好きになったトツ子は、3人でバンドを組むことを提案する。それぞれに人の気持ちを忖度しすぎるトツ子・きみ・ルイの3人は音楽によって心を通わせていき、ルイの住む離島の古い教会で合宿しながら新しい音楽を作曲していく。そして、やさしいシスター・日吉子(声・新垣結衣)の導きで学校の学園祭で3人のバンドの演奏が許可されるが・・・。
水彩絵具のような淡く美しい色調で描かれていくこの作品は、清純無垢な少女少年が奏でる、心が洗われる内容となっているのです。【青春×音楽】を基調にしたナイーブな心根を表現できるのは、日本のアニメーションだけができる新たなジャンルだと思う作品でした。僕が個人的に好きなシーンは『水金地火木土天アーメン』を歌う演奏と、トツ子が庭で踊るクラシックバレエでした!!
ぼくのチケット代は、2400円出してもいい作品でした。
星印は、4ッさしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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