2023年サンダンス映画祭ワールド・ドキュメンタリー部門で、<審査員大賞>を受賞した南米チリの作品で、アルツハイマー型認知症で記憶を失っていくジャーナリストの男性と、彼を支える妻との愛と癒しに満ちた日々を記録した作品です。
南米チリの著名なジャーナリストであるアウグスト・ゴンゴラと、チリの国民的女優で女性としてチリで初めての文化大臣を務めた妻・パウリナ・ウルティア。1990年代から20年以上にわたって深い愛情で結ばれたふたりは、周りを自然に囲まれた古い家をリフォームし、読書や散歩を楽しみながら幸せな毎日を送っていた。1970年代、アウグストはピノチェト政権にレジストし、『チリ封じられた記憶』などの著作を書き続けながらパウリナと知り合い、愛を育みながら幸せな生活を築いていく。そんな中、アウグストはアルツハイマーを発症し、少しずつ自分の過去の記憶を失っていく。良き妻としてアウグストを支えるパウリナは仕事をこなしながら、ジャーナリストの過去を忘れつつあるアウグストに寄り添い丁寧に看病していく。次第に病状が悪化していくアウグストは、最愛の妻パウリナとのメモリーさえも消えはじめる。
この作品は、アルツハイマーを患った夫アウグストと、困難に直面しながらも夫アウグストとの生活を慈しみ支える妻パウリナの晩年の生活を、過去現在の様子を丁寧にニュース映像や手回しの映像を絡めて描くドキュメンタリーです。チリのピノチェト政権の様子はニュースや本などで断片的な知識として知っていたのですが、ジャーナリストのアウグストや、女優でありピノチェト政権の後の女性で初めての文化大臣を務めたパウリナのことはこのドキュメンタリー作ではじめて知りました!!映画の力を知るドキュメンタリー作品でした。
ぼくのチケット代は、2200円出してもいい作品でした。
星印は、3ッ半さしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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