人間の体内の細胞たちを擬人化した清水茜の同名漫画を、武内秀樹監督が実写化した作品です。ある親子の体内世界ではたらく細胞たちの活躍と、その親子を中心とする人間世界のドラマが並行される作品となっているのです。
人間の体内には37兆もの細胞が存在し、日夜休みなく健康を維持するために働きつづけている。新鮮な酸素を体内に運ぶ『赤血球』(永野芽郁)や、体内で暴れる細菌と戦う『白血球』(佐藤健)など無数の細胞たちが、ヘルパーT細胞(染谷将太)の司令の下で体内の健康を維持するため日夜休みなく働いている。高校生の日胡(芦田愛菜)は、父・茂(阿部サダヲ)と2人暮らしの家庭。母を早く亡くした日胡は、母のような病気を治すため医学部を志望するために、勉強に励み健康な躰を維持する孝行な娘。そのため、健康的な生活習慣を送る日胡の体内の細胞たちは、いつも楽しく働いている。不規則・不摂生な茂の体内では、ブラックな労働環境に疲れ果て細胞たちは不満を訴えているが、健康診断で気づいた日胡の健康管理で健康数値が良くなり細胞たちも一安心する。そんなある日、憧れた先輩・新(加藤清史郎)からコクられ、つき合う幸福の絶頂の日胡の躰に異状が発生する。『白血球』細胞が異常変化する『白血病』の診断が医師から告げられたのだ。愛する日胡の躰を守るために、ヘルパーT細胞の司令の下で、日胡の全細胞が抵抗するが・・・。
『翔んで埼玉』『テルマエ・ロマエ』などの異質なドラマを娯楽映画として成功させている武内秀樹監督が手がけたこの作品は、人間の体内で休むことなく働きづくめの微小な細胞の勤勉な働きを擬人化し、その活躍を視覚化させながら、その宿主の人間の親子のやさしい愛情を同時に描いていくのです。並列させながら同時進行形の作品として、演出方法にブレが無く、一級の娯楽作品として成功させる手腕に脱帽です。子供から大人まで楽しめる作品となっているのです!!
ぼくのチケット代は、2300円出してもいい作品でした。
星印は4ッさしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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