タイ・バンコクののどかな風景の中で、祖母と孫との奇妙な交流を、ユーモアとペーソスを織り交ぜながら描くヒューマン・ドラマです。タイを代表する人気スターでミュージシャンのビルキンことプッティポン・アッサラッタナクンが孫を演じて大ヒットした作品です。
大学を中退してゲーム実況者を目指す青年・エム(プッティポン・アッサラッタナクン)は、やさしい母・シウ(サリンラット・トーマス)との貧しい母子家庭の息子。母の生活を助けようと、エムは大学を中退して一攫千金を狙ってゲーム奏者になったが売れないままの生活だった。そんな折、従妹のムイが介護士として祖父から豪邸を相続した事を知り、エムもそれに倣って、お粥売りをしながら小金をためている独り暮らししている祖母・メンジュ(ウサー・セームカム)の世話をして祖母の遺産を相続しようと、不謹慎な考えで勝手に祖母の家に入り、まめまめしく世話をはじめる。エムは、祖母のメンジュがステージ4のガンに侵されていたのを知らされていたのだ。祖母のメンジュは、エムの母と二人の息子を育てた後は、ひとり暮らしの慎ましい生活をしていたのだ。だが、生来のやさしい心根のエムは、それまでだれにも頼らずに病に向き合い懸命に生きる祖母・メンジュと暮らすうちに、祖母が大好きな人になっていく自分を知る。心と心が通い合う仲になった、エムとメンジュの祖母と孫の生活にガンの進行が立ちふさがるが・・・。
不純な動機からはじまる祖母と孫の生活を、ユーモアとペーソスを交えて綴るこの作品は、市井の人々の生活を淡々と描きながら、見る人の心に染み入る内容になっているのです。主演のエム役ビルキンの素直な演技に好感を感じるのですが、祖母・メンジュを演じるウサー・セームカムが78歳にして俳優デビュー作品と知り、たまげました!!躍進するタイの映画界の底力を感じる作品でした!
ぼくのチケット代は、2300円出してもいい作品でした。
星印は4ッさしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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