1941年。太平洋戦争下。日本海軍の駆逐艦『雪風』が米軍との数々の激戦で戦い抜き、ほぼ無傷で終戦までを迎えるまでを描く作品です。
1942年6月。ミッドウェイ島沖<【雪風】・・・これより乗員の救助に向かう・・・>、沈没しようとする巡洋艦『三隈』から、多くの乗員が海に投げ出されている。激しい戦闘を繰り広げていた一隻の駆逐艦が救助に向かう。先任伍長の早瀬幸平(玉木宏)の『一人残らず引き上げろ』の声で、縄梯子が下され次々と助ける最後に、早瀬から助けられた乗員が17歳の二等水兵の井上壮太(奥平大兼)だった。この井上が後に『雪風』に転属し、『雪風』を救う役割をするとは誰も知らない。軽量で機動性に優れたことから、艦隊の先陣を受け持ち、対空戦闘からの戦艦や空母を護衛し、最後まで戦場に留まり、沈没する僚艦の乗員を救助していく役目を担うのだ。『雪風』艦長の寺澤一利・中佐(竹野内豊)は、海軍参謀から艦長に転身した知力のある軍人であり、どの戦闘でも冷静に指揮して乗務員全員の信頼の厚い武士道精神のある男だった。先任伍長の早瀬は人情の厚い熱血漢で、乗員の全部を戦場から生きて帰す事を願う男だった。駆逐艦は軽量の軍艦で乗務員も少ないので士官と水兵の壁もなく、和気あいあいとした仲であり、早瀬の唯一の楽しみは信州に住む年の離れた妹・サチ(當間あみ)からの手紙だった。卓越した手腕で艦を操る寺澤は、たまに帰還した時は呉郊外に住む妻・志津(田中麗奈)と幼い娘を愛で、舅と酒を飲みながら話すことだった。作戦遂行を優先する寺澤と、乗務員の命を優先する早瀬が艦内で話した時、早瀬は寺澤の願いが『普通の生活がいい、戦の無い平凡な生活を送ること』の言葉に胸を打たれる。だが戦況は厳しくなり、1945年4月第二艦隊司令長官・伊藤整一中将(中井貴一)に、連合艦隊は戦艦『大和』らと『雪風』にも海上特攻を命じられ沖縄に向かう。この【十死零生】とされる作戦をどのように生き抜くのか『雪風』は、今回もまた多くの仲間を救い、港に帰ることができるのか・・・。
さまざまな史料を基に、オリジナルな(『雪風』の6人の艦長を寺澤一人にまとめる)架空の登場人物として演出するこの作品は、歴史の闇に秘められた実話を真摯な態度で描いていき、戦後世代の大多数の観客の胸を打つ内容となっているのです。大多数の人々が鬼籍に入った戦前世代の日本の人々の御魂に祈りを捧げたい作品となっているのです!!
ぼくのチケット代は、2300円出してもいい作品でした。
星印は、4ッさしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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