新海誠監督の初期のアニメ作品『秒速5センチメートル』を、映像作家で写真家の奥山由之監督が映画化した作品です。
1991年、春。東京の小学校で出会った、転勤族で何回も学校を転校していた遠野貴樹(幼少期・上田悠斗)と篠原明里(幼少期・白山乃愛)は、互いが心に抱える孤独感から気が合い心を通わせる。だが、卒業と同時に明里は栃木県に引っ越してしまう。中学1年の冬、貴樹も鹿児島県の種子島に引っ越しする前に、吹雪の夜に栃木の岩舟で再会した二人は、雪の中に立つ桜の木の下で、2009年3月26日に同じ場所で再会することを約束する。種子島宇宙センターの見える場所で生活する貴樹(高校生・青木柚)は、弓道部で顧問の輿水先生(宮崎あおい)に可愛がられ、サーフィンをする同級生の澄田花苗(森七菜)はカブに乗り通う内に、無口だが優しい性格の貴樹に淡い慕情を感じていた。だが、貴樹の心は自分よりも遠い場所を見ていると分かり淡い恋心を諦める。時は流れ、2008年。貴樹(松村北斗)は東京の大学を卒業後、東京でシステムエンジニアとして同じ業界の水野理沙(木竜麻生)とつきあう仲だが、理沙も貴樹の心の中に秘めた思いがあることを分かる。貴樹も30歳を前にして、自分の心の一部が【遠い時間】に取り残されたままであることに気づく。貴樹は知人の紹介で、プラネタリウムを操作するエンジニアとして、小川館長(吉岡秀隆)の下で働くことになる。そして、2009年3月26日。その博物館に書店で働く明里(高畑充希)が雪の降る日に館長が依頼した書物を持って来る。館長は、明里が館内の少女に『桜の散る花びら時間は秒速5センチメートルなのよ』と教えているのを聞いたと貴樹に面白そうに話した。その言葉は、小学校時代の昔、貴樹と明里が話した言葉だった。貴樹は遠い昔に約束した日を思い出し、岩舟に行くが・・・。
奥山由之監督の映像美の世界に浸り、きれいなポエムを読むような感覚を覚える作品でした。
ぼくのチケット代は、2200円出してもいい作品でした。
星印は、3ッ半さしあげます。
“映画評論家ではない”衛藤賢史先生が「観客目線でこの映画をどう見たか?」をお話するコーナーです。
星:観客目線で「映画の質」を5点満点で評価
チケット代:観客目線で「エンターテインメント性、楽しめるか?」を評価(1,800円を基準に500円から3,000円)
【衛藤賢史プロフィール】
えとうけんし・1941年生まれ・杵築市出身
別府大学名誉教授
専門:芸術学(映像・演劇)映画史
好きな作家:司馬遼太郎/田中芳樹
趣味:読書/麻雀/スポーツ鑑賞/運動
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