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青天の霹靂

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   2014/05/27

衛藤賢史のシネマ教室

劇団ひとりが「陰日向に咲く」につづく2作目の小説を、自身の監督によって映画化したハートフルなコメディ作品である。
39才のマジシャン轟晴夫は、口下手な性格ゆえに腕はいいのだが、口の達者な後輩たちの後塵を拝してくさっていた。
そんな晴夫のところに警察から連絡が入った。父の正太郎が亡くなったという知らせだった。幼い頃、母が家を出て、父とふたり暮らしの晴夫は高校卒業後、父を見捨て連絡を取っていなかった。父はホームレスとなって孤独死していたと言うのだ。父の遺骨を抱えて鉄橋下の父が暮らしていたダンボールハウスを訪ねた時、青天の空から一陣の稲妻が晴夫に直撃し気を失ってしまう。そして気付いた時、晴夫は40年前の昭和48年の世界にタイムスリップしていた。偶然出会った少年の紹介で浅草の雷門ホールの支配人・丸山に会い、スプーン曲げのマジックを気に入られマジシャンとして採用される。
ユリ・ゲラーがスプーン曲げのマジックで日本で大評判になったのは昭和49年、つまり晴夫のマジックは誰も知らない時代だったのだ。丸山は晴夫にインド人ペペという芸名をつけ、助手に悦子という若い女性をつける。悦子は同棲しているマジシャン・チンと暮らしていたのだが、悦子の妊娠に動転した生活能力のないチンはアパートを飛び出し警察の世話になっていた。悦子に頼まれ警察にもらい下げに行った晴夫は、チンが自分の父・正太郎であることが分かる。つまり悦子のお腹の子こそ晴夫なのだ。晴夫はこの生活能力のない父母を守ろうと頑張る決心をする。丸山の発案でペペとチンがケンカしながらのコミック・マジックは大当たりし、正太郎も悦子とお腹の子のため張り切った矢先、悦子が倒れてしまう。はじめて生きがいを覚えた晴夫はさあどうする・・・。
初監督の劇団ひとりの演出は、前半の現代編ではかなりモタモタした出だしとなり、あまりテンポがいいとは言えない演出ぶりで、これはどうなるのかなと心配しながら見ていたが、タイムスリップしてからの後半は、きっちりとまとまり、笑いや涙も程よい調和となり安心して見ることができた。
秀作とは言えないが、これくらいの出来であれば合格点を出してもいいと思う作品となっていた。
ぼくのチケット代は、1,900円を出してもいいかなと思う作品でした。
星印は、2つ半を差し上げます。

5点満点中2.5点 1900円

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